著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府及び関係者は、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
一 海賊版サイトの形態は多種多様であり、本法の措置では対応ができないストリーミング形式を採用している海賊版サイト等も存在することを踏まえ、本法による規制にとどまらず、今後ともあらゆる手段を通じて海賊版対策の徹底に向けた取組を政府一丸となって行うこと。
二 侵害コンテンツの違法アップロードについては、アップロードを行う者が海外サーバーを利用する事例や我が国の捜査協力等の要請に対して非協力的な国が存在することも踏まえ、迅速かつ円滑な捜査・摘発に向けて、政府は、海外の捜査機関や通信業者等との更なる連携強化を促進し、実効性のある違法アップロード対策の実現に努めること。
三 政府は、海賊版対策を講じるための専門的知見、人的資源、資金等が不十分な中小企業等を支援するため、海賊版対策の構築に係る専門的知見の提供や経費の補助等の様々な支援策を講じるよう努めること。
四 本法による侵害コンテンツのダウンロード違法化に係る措置が、国民の正当な情報収集等の萎縮をもたらさないよう多くの要件が設けられ複雑な制度設計となっていることを踏まえ、本法附則による国民への普及啓発及び未成年者への教育を行うに当たっては、分かりやすいガイドライン等を作成するとともに、インターネット上や学校現場等の様々な場面での普及啓発・教育に万全を期すこと。
五 政府は、関係者による議論の状況等を踏まえつつ、演奏権等の要件としての公衆に直接見せ又は聞かせる目的の範囲について、必要に応じて社会通念や妥当性の観点から検討するとともに、その結果に基づいて必要な見直しを行うよう努めること。
六 デジタル化・ネットワーク化の進展に伴い、従来は受信者であった国民が同時に発信者にもなる時代が到来し、著作物の利用・流通形態の多様化が今後さらに進行することが想定されることに鑑み、政府は、権利の保護と著作物の円滑な利用の促進とのバランスに十分留意しつつ、時代に即した著作権法制となるよう、その在り方について不断の検証を行うこと。