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   子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

一 我が国の少子化は国難であるとの認識の下、少子化を克服するために、子育て関係予算の総額を増額すること。また、平成二十四年六月十五日に確認された民主党、自由民主党、公明党の三党による「社会保障・税一体改革に関する確認書」において幼児教育・保育・子育て支援の充実に必要とされた一兆円超のうち、〇・三兆円超が未だ確保されていないことを踏まえ、当該予算を早期に確保するよう努めること。

二 待機児童の解消については、「新子育て安心プラン」に基づく保育の受け皿整備を進める中において、可能な限り早急に実現すること。

三 子ども・子育て政策が多くの省庁にまたがっていることによる弊害を除去し、より効果の高い子ども・子育て政策を実施するため、子ども関連政策の総合調整機能を高めるための行政組織の在り方について検討すること。

四 一人親家庭に限らず、低所得の子育て世帯の子どもが貧困状況におかれることのないよう配慮すること。

五 本法附則第二条の規定に基づく検討を行うに当たっては、以下の事項に配慮すること。

1 未来を支える子どもたちを社会全体で支えるという考え方に立ち、各種施策を進める中で、できるだけ支援が届かない子どもが出ないよう、配慮すること。

2 多子世帯の家計負担や、高校・大学等に通学する子どもの教育費の負担が大きいこと等を踏まえ、子どもの数や年齢に応じた効果的な支給となるよう検討すること。

3 世帯合算の導入については、共働き世帯への影響や世帯間の公平等を踏まえ、検討すること。

六 出生率の回復に成功した主要先進国における家族関係社会支出の対GDP比を参考に、少子化社会対策大綱等に基づき、ライフステージに応じた総合的な少子化対策に向けた取組について、具体的な検討を進めること。また、附則第二条の規定の趣旨に基づき、子どもの数等に応じた児童手当の充実について検討を行うこと。

七 保育の受け皿を整備するに当たっては、保育士を十分に確保するため、財源を確保しつつ、賃金の引上げ等保育士の処遇改善を行うこと。また、保育所に対する委託費の使途については、保育士の人件費を十分に確保するため、必要な措置を講ずること。 

八 保育の運営費の財源については、子育てを社会全体で支えるとの考え方に基づき、適切に確保すること。また、事業主拠出金については、地域経済が厳しい状況にあること、中小・小規模事業者にとって負担が大きいこと等を踏まえ、事業主の負担が過度にならないように配慮すること。

九 教育・保育施設に対する施設型給付費については、施設の規模が大きくなるに従い単価が下がる仕組みとなっているが、規模の大小にかかわらず安定的な経営が可能となるように努めること。

十 企業主導型保育事業については、施設の定員割れや休止等の事案が生じていることを踏まえ、保育の質の確保、事業の安定性・継続性の確保等を図るため、指導監督の強化をはじめ、速やかに措置を講ずること。 

十一 労働者の仕事と子育ての両立に資する観点から、労働者の子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成について、少子化の状況や仕事と子育ての両立の状況も踏まえ、必要に応じて、その延長を検討すること。

十二 市町村における地域子ども・子育て支援事業の実施状況を踏まえ、子ども・子育て支援の提供を行う関係機関相互の連携の推進に関する事項を市町村子ども・子育て支援事業計画の基本的記載事項とすることについて検討すること。

十三 児童手当の現況届の廃止に当たっては、地方公共団体に新たな財政負担が生ずることのないようにすること。また、児童手当の現況届の廃止に伴うシステムの構築に当たっては、長期的な観点から経費を抑制するため、システムの運用コストや、制度が変更された場合の改修コストを含め、費用が最小となるようにすること。

十四 児童手当の現況届を廃止し、行政機関及び地方公共団体の情報連携による現況把握に移行するに当たっては、情報連携の実績のない地方公共団体もあることから、円滑な移行がなされるよう、地方公共団体に対し十分な支援を行うこと。また、情報連携により、DV等被害者の住所等が加害者に知られることのないよう、必要な措置を講ずること。

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