盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 特定金属くず買受業について、買受業者の実態の把握に努めるとともに、本法の運用状況を踏まえ、現金取引の禁止、取引時の本人確認及び記録保存の一層の厳格化を始めとする、買受業者に対する規制的措置の在り方を検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
二 太陽光発電施設における金属ケーブルの窃盗を始めとする金属盗の発生状況、手口及び有効な防止策について、不断の情報収集及び分析を行い、関係事業者等と警察とで広域的に共有するための官民情報プラットフォームを、関係業界と連携して速やかに構築し、運用するとともに、関係事業者等に対し、盗難防止に資する情報を積極的に周知すること。
三 盗難特定金属製物品の処分を防止するため、AI等のデジタル技術等の最先端技術等を活用した対策について、その技術開発の支援も含めた在り方を将来的に検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
四 監視カメラやセンサーライトの設置、転売防止のためのマーキング等の自主防犯対策を講ずる事業者等に対する支援措置を講ずる都道府県に対して、必要な助言、支援等を行うこと。
五 太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗について、不法滞在外国人グループ等が犯行に及んでいる実態が認められることに鑑み、組織的に金属盗を敢行する犯罪について、実行犯の募集や盗難特定金属製物品の流通経路等の実態を解明するとともに、効果的な取締り等の対策を講ずること。また、留学生や外国人コミュニティ等の協力を得るなどして、外国語によるインターネット上の違法・有害情報に対し適切に対応するとともに、犯罪防止に資する情報発信を外国語を用いて積極的に行うこと。あわせて、取締りを通じて外国人差別の風潮を助長することとならないよう十分留意すること。
六 買受け時の本人確認を始めとする手続の煩わしさにより、適法な特定金属くず買受業者の利用が避けられる事態とならないよう、本法の措置の内容及びその必要性について、国民や事業者の十分な理解を得られるよう周知啓発を行うこと。
七 指定金属切断工具の隠匿携帯の禁止規定の運用に当たっては、人権を不当に侵害することのないようにすること。