医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。
一 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用について、多くの府省が関与していることに鑑み、政府の司令塔機能を明確にし、あるべき全体像を示すとともに、必要に応じて速やかに制度を整備すること。
二 仮名加工医療情報については、他の情報と照合することにより特定の個人が識別される可能性があることに鑑み、安全管理措置に係る厳格な基準を策定すること。
三 医療情報の第三者提供については、本人への通知が行われていない医療情報の提供など、医療情報の不適切な取扱いが生じないよう、認定匿名加工医療情報作成事業者等に対し、安全管理措置の徹底を図ること。
四 匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用を推進するため、医療情報取扱事業者、認定匿名加工医療情報作成事業者、認定仮名加工医療情報利用事業者等に対し、必要な措置を講ずること。
五 匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報を利活用する事業者から徴収する利用料が、認定匿名加工医療情報作成事業者等の運営の実態に照らして適正なものとなるよう促すこと。
六 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報について、個人の権利利益の保護を図りつつ効果的に利活用することができるよう、規格の適正化を推進するとともに、官民の医療情報に係るデータベース間の連携を一層緊密化すること。
七 仮名加工医療情報の利活用については、認定仮名加工医療情報利用事業者による研究の進捗を確認する等、我が国の医療発展や国際競争力の強化等につながるよう留意すること。
八 医療情報の第三者提供に際して本人に通知するに当たっては、仮名加工医療情報については他の情報と照合することにより特定の個人の識別が行われ得ること等を踏まえ、医療情報がどのように利活用されるのかを本人が理解しやすくするため、通知内容を丁寧なものとするよう配慮すること。
九 医療情報、匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報の利活用の推進に当たっては、基本方針に不当な差別、偏見その他の不利益が生じないための措置が明記されていること、科学技術・イノベーション基本計画において倫理的、法的及び社会的課題への対応を掲げていること等を踏まえ、有識者を交えた会議において、利活用に伴って生じ得る倫理的問題等を総合的に議論することを検討すること。