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   配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

一 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含める改正は、加害者が自己への従属を強いるために生命・身体・自由等に対する脅迫を用いることに着目したものであることを踏まえ、発令要件の対象となる精神的暴力等が限定されることのないよう、その趣旨を周知徹底し、運用に万全を期すこと。

二 接近禁止命令の発令要件に精神的暴力による危害等を含めることとした一方、退去等命令の発令要件には含めないことにより、精神的暴力等が身体的暴力に比べて重大な被害をもたらさないものであるという誤解を与えることのないよう、その正確な趣旨の周知を徹底すること。併せて、退去等命令の発令要件について、精神的暴力等へ対象を拡大することを含めた見直しを検討すること。

三 被害者本人による保護命令の申立てが困難な場合についての必要な支援を検討すること。

四 保護命令の申立てから発令までの平均審理期間は約十二日となっており、その期間の長さから被害者が保護命令の申立てをちゅうちょすることのないよう、被害者の保護を最優先にした必要な対応を講ずること。

五 被害者が配偶者からの暴力(DV)を受けた場合に、加害者から逃げることを前提としていることが、DVの被害を更に深刻化・長期化させている場合があることに鑑み、被害者とその子が引き続き同じ住居に居住できるよう必要な対応を検討すること。

六 保護命令について同性カップルも対象となった例がある旨を周知徹底すること。併せて、通報の努力義務を含め、同性カップル間の暴力への対応にも遺漏なきを期すこと。

七 DVの防止に資するため、DVを受けている者を発見した者がその旨を通報する努力義務について、十分に周知すること。

八 被害者の権利擁護及び被害者の子に対する支援について更なる取組の強化に努めること。

九 被害者からの行政機関への苦情に関する適切な対応について周知徹底を図ること。

十 保護命令の申立てに関する手続のIT化に向け、被害者の負担軽減を含め必要な対応を推進すること。

十一 DVの被害を受けた女性の約四割、男性の約六割は誰にも相談しなかったとの調査結果も踏まえ、被害者が女性の場合のみならず、被害者が男性の場合や、同性カップル間の暴力も含めDV被害者が相談しやすい体制を整備すること。

十二 被害者の相談対応や安全確保のための支援、生活再建や心身の回復に向けた支援等を担う婦人相談員の適正な配置や専門職としての位置付け等、公的相談窓口の体制を強化すること。併せて、被害者支援において重要な役割を果たしている民間支援団体への財政支援の一層の充実を含めた更なる支援の実施について検討すること。

十三 DVの被害が被害者本人のみならず、その成年の子にも及ぶ事案等に対しては、親族等への接近禁止命令により保護が可能なことについて、一層の周知徹底に努めること。

十四 DVと児童虐待が同一家庭内で同時に発生している実態及びDVが子供の成長や心理に与える影響について情報を収集し、その知見を踏まえた研修を関係機関の職員に対して行うこと。

十五 国が定める基本方針及び都道府県が定める都道府県基本計画の改正に当たっては、加害者プログラムや子供に対するDV防止のための教育について記載するよう努めること。

 

 

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