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   日本学術会議法案に対する附帯決議

 政府及び日本学術会議は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

一 政府は、令和二年の会員任命拒否問題について、国民に説明責任を果たし、国民の信頼を得るよう努めること。また、日本学術会議との信頼関係を損ねたとの指摘があったことを踏まえ、日本学術会議との信頼関係の構築に努めること。

二 政府は、会長の選任について日本学術会議が公表しなければならない事項を内閣府令で定めるに当たっては、会長に求められる資質を十分に勘案しながら慎重かつ丁寧なプロセスで選考されたことが国民に明らかとなるようにすること。

三 政府は、現行の日本学術会議が、科学が文化国家の基礎であるという確信に立って、科学者の総意の下に、我が国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し、世界の学界と提携して学術の進歩に寄与することを使命として設立されたものであることを尊重すること。

四 政府は、日本学術会議が我が国の科学者の内外に対する代表機関としての役割及び機能を十分に発揮することができるよう、会員の選任、科学的助言等、運営及び活動における日本学術会議の独立性、自主性及び自律性を尊重すること。

五 政府は、法人化後の日本学術会議の設立に当たっては、日本学術会議の実務の連続性に配慮すること。また、設立時の会員の選考について、コ・オプテーションの理念に配慮すること。

六 政府は、日本学術会議が、その役割及び機能を十分果たし、また、その活動を萎縮させることがないよう、日本学術会議の要望を踏まえつつ、必要な財政支援を行うこと。また、補助金等の算定に当たっては、日本学術会議が中期的な活動計画に基づいて作成する年度計画に記載される事項に基づき公正に行い、適切な金額となるよう努めること。あわせて、日本学術会議は、無駄を排除した上で、政府からの財政支援のみに依存せず、民間からの寄附金を始めとした財源の多様化を図るよう努めること。

七 政府は、監査報告、選定助言委員、運営助言委員、中期的な活動計画、年度計画、自己点検評価、日本学術会議評価委員会等に関して政令、内閣府令を定めるに当たっては、日本学術会議の自主性を尊重すること。また、内閣総理大臣が任命する監事や日本学術会議評価委員会の権限が不当に拡大しないよう留意すること。あわせて、監事には、業務における政治的中立性の確保も含め、適切に監査できる者を任命すること。また、日本学術会議評価委員には、産業や国民生活に最新の科学研究及び学問的知見が活かされるよう、中期的な活動計画に対して幅広い視野から意見を述べることができる者を任命すること。

八 政府は、産官学の連携を一層深め、民間の知見や活力を積極的に活用することで、学術の成果を社会に還元し、新たな価値やイノベーションの創出につなげること。また、日本学術会議は、社会の関心及び状況等を認識し、立法府に対する提言を検討することも含め、その政策提言機能を強化すること。あわせて、政府は、日本学術会議が行う勧告、答申等について、その趣旨を尊重すること。

九 日本学術会議は、会員候補者選定委員会、選定助言委員会等の会議体の議事録の公表、日本学術会議と社会とのコミュニケーションの強化等、組織や活動の透明性の向上に努めること。

十 政府は、日本学術会議の更なる改革に向けて不断の見直しを行うため、組織の在り方を含め、本法の運用状況について適時適切に評価及び検証を行い、必要に応じて適切な措置を検討すること。また、本法の施行後三年を目途に本法の施行状況を点検し、その結果を公表すること。

十一 政府は、本法の規定について施行後六年を目途に検討する際には、本法の規定する目的及び基本理念を踏まえた活動状況、業務遂行及び会員選任等に係る説明責任の履行状況、財政面も含む自主的・自律的な運営に向けての取組などに留意すること。

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