国家情報会議設置法案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たっては、次の事項を遵守しつつ、運用すべきである。
一 本法に基づく調査審議の対象となる「重要情報活動」については、「重要国政運営」に「資する情報」の解釈が過度に広範なものとなることのないよう、国民の安全や国益の確保の観点から、政策部門における対応のために必要と認められる情報を取り扱うものとすること。
二 「重要情報活動」及び「外国情報活動への対処」に関する情報の収集及び提供並びにそれらの要請に当たっては、個人情報やプライバシーの保護に関し、個人情報保護法等の法令や各組織における関連規定の遵守はもとより、これらが無用に侵害されることのないよう、十分な配慮を行うこと。また、目的外利用となる個人情報の提供及びその要請については、同法を遵守するとともに、提供を受けた情報についても、同法の規定に反する利用目的以外の利用を厳に慎むこと。プライバシーの保護についても、法令の規定の有無にかかわらず、これと同様の取扱いに留意すること。
三 内閣総理大臣や内閣官房長官を始めとする政策部門は、情報部門に対し、その所掌事務とは無関係な情報収集依頼を行わないこと。また、国家情報局及び関係行政機関における「重要情報活動」及び「外国情報活動への対処」に当たっては、国家公務員法等の遵守はもとより、全体の奉仕者としての立場を逸脱するような政治的中立性を損なう情報収集は行わないこと。特に、特定党派の利益又は不利益を図るため、国内の政治家や選挙区に関する情報や、選挙及び選挙運動に関する情報の収集は行わないこと。
四 本法の施行後、政府の情報活動の中長期的な推進方策を文書としてまとめ、国会に報告するとともに、公表すること。その際、二及び三に反する情報の収集及び提供並びにそれらの要請を行わないための具体的方策についても検討の上、盛り込むこと。
五 国家情報会議及び国家情報局の活動内容について、四の文書とは別に、国民の懸念を払拭するため、関係法令、本法案に関する国会答弁及び本附帯決議の内容が遵守されているかどうかを含め、その求めに応じるなどして、国会に適時適切に説明すること。
六 国家情報会議の議事の記録を作成し、配布文書とともに、公文書等の管理に係る制度に基づき、公文書として適正な期間保存すること。
七 国家情報局長は一定期間継続して在任することが好ましく、その人選に当たっては、その職責の重要性にかかわらず実質的に同一行政機関の出身者のいわば指定席となっているとの疑念を招くことのないよう、適材適所を旨とし、それまでの経験を踏まえつつ、人物本位・能力本位で行うこと。
八 対外情報を収集するための行政機関の設置の法制度や、いわゆるスパイ活動を含む外国による我が国に対する不当な影響力の行使を防止するための法制度であって国民の権利利益を制約するものを仮に検討する場合には、適切に国会が監視できるようにすることを前提に検討すること。また、これらの法制度が実施された場合、国家情報会議及び国家情報局の集約し得る情報は質的量的に大きく変わることも考えられることから、それらによる国家情報会議及び国家情報局に対する情報提供の状況を国会の監視対象とすることも検討すること。
九 八の法制度も含む、一層のインテリジェンスに係る態勢の整備を仮に検討する場合には、インテリジェンスに係る態勢の整備が国家の存立及び国民の安全の確保に関わる重要な課題であるとの認識の下に、我が国の健全な民主主義の根幹の維持をはじめ国益に寄与することを旨として行うこと。あわせて、政治的中立性及び国会による民主的統制が確保されるとともに、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならないことに留意すること。また、情報収集等に係る手法を拡充するための措置、インテリジェンスに従事する者等の安全及び適切な処遇の確保のための措置、インテリジェンスに関する専門的知識や技能を有する者の確保のための措置、インテリジェンスの実施状況及びその効果の検証のための措置等について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

