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   経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

一 基本方針の策定に当たっては、以下の事項に配慮すること。

 1 安全保障に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するに当たっては、自由かつ公正な経済活動の促進との両立が図られるようにするとともに、新たな国際経済秩序の形成の促進の重要性に留意すること。

 2 「経済活動に与える影響」(本法第五条)を考慮するに当たっては、経済成長に及ぼす影響に配慮するとともに、事業者の事業活動における自主性を尊重し、事業者間の適正な競争関係を不当に阻害することのないようにすること。

 3 安全保障に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進するに当たっては、事業者及び国民に対し十分な説明を行い、その理解を得るようにすること。

 4 本法第九十条の規定に基づき、我が国が締結した条約その他の国際約束の誠実な履行を妨げることがないようにすること。

二 特定重要物資を指定する政令及び安定供給確保支援法人の指定に関する主務省令並びに特定社会基盤事業者の指定基準を定める主務省令は、関係事業者、関係事業者の団体その他の関係者の意見を考慮して制定するとともに、特定技術分野を定める政令は、安全保障の確保に関する経済施策、産業技術その他特許出願の非公開に関し知見を有する者の意見を考慮して制定すること。

三 特定重要物資、特定社会基盤事業者及び指定基金の指定並びに特定技術分野の選定は、客観的かつ公平に行うこと。

四 物資の生産、輸入又は販売の事業を行う個人又は法人その他の団体に対する報告徴収(本法第四十八条第一項)及び特定重要設備の導入等後等の勧告(本法第五十五条第一項)においては、経済活動に与える影響を考慮し、安全保障を確保するため合理的に必要と認められる限度において行わなければならないことについて一層配慮すること。

五 特定重要物資又はその生産に必要な原材料等について、備蓄その他の安定供給確保のために必要な措置を講ずる(本法第四十四条第六項)際においては、輸送手段の確保について十分配慮すること。

六 「特定妨害行為の防止による特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関し必要な特定社会基盤事業者その他の関係者との連携に関する事項」(本法第四十九条第二項第五号)は、特定社会基盤事業者に対する相談、助言その他の援助の必要性を考慮して定めること。

七 特定重要技術の開発支援については、我が国の技術的優位性ひいては不可欠性を確保することにつながるか否かを十分に検証した上で、対象となる技術をしっかりと見定めていくとともに、真に必要なものに対し、集中的に行うこと。

八 特定重要技術の研究開発の促進及びその成果の適切な活用を図るに当たっては、宇宙科学技術、海洋科学技術、量子科学技術及び人工知能関連技術の重要性に留意すること。

九 特定重要技術の開発を支援するため、十分な財政措置を講ずること。

十 保全対象発明の選定に当たっては、産業への影響を考慮して対象をできる限り限定的なものとすること。その際、デュアルユース技術については、国費による委託事業の成果である技術や、防衛等の用途で開発された技術、あるいは出願人自身が了解している場合などを念頭に、支障が少ないケースに限定すること。

十一 特許出願の非公開制度の運用に当たっては、特許出願人が手続を円滑に行うことができるよう配慮すること。

十二 本法第八十条に基づく損失の補償に当たっては、特許出願人が過度な不利益を被ることのないよう十分配慮すること。

十三 本法の施行状況については、遅滞なく国会を含め、国民に公表すること。

十四 国際共同研究の円滑な推進も念頭に、我が国の技術的優位性を確保、維持するため、情報を取り扱う者の適性について、民間人も含め認証を行う制度の構築を検討した上で、法制上の措置を含めて、必要な措置を講ずること。

十五 安全保障の確保に関する経済施策に関する情報の収集、整理及び分析を推進する観点から必要があると認めるときには、その体制の整備について、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

十六 本法第四十八条第一項の規定による報告又は資料の提出の状況を勘案し、必要があると認めるときは、同項の規定による報告又は資料の提出の実効性を確保するための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

十七 ウクライナ情勢はじめ世界の安全保障環境が激変している状況を勘案し、経済安全保障に関する諸施策の実効性を伴う総合的な推進を図るための方策について、本法の施行後適当な時期において検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

 

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