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   こども基本法案に対する附帯決議

 政府は、本法の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用等について遺漏なきを期すべきである。

一 こども施策の実施に当たっては、日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり、こどもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、及び社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を目指すこと。また、社会全体でこどもの成長を支援する社会の実現を担保するための方策について検討した上で、必要な措置を講ずること。

二 こども施策の実施に当たっては、いじめ、不登校、自殺、虐待等、こどもを取り巻く状況が深刻化していることを踏まえ、全てのこどもの生存と安全、教育を受ける権利等の保障に万全を期すこと。また、教育及びこどもの福祉に係る施策のより一層の連携確保を図ること。

三 こども施策を実施するための予算及び人員を十分に確保し、全てのこどもの成長の支援に万全を期すこと。また、教育を受ける機会が等しく与えられるよう、義務教育のほか、幼児教育、高等学校教育、大学教育など、教育の全過程について必要な負担軽減策に取り組むこと。

四 こども施策の推進は、全てのこどもについて、こどもの年齢及び発達の程度に応じて、こどもの意見を聴く機会及びこどもが自ら意見を述べることができる機会を確保し、その意見を十分に尊重することを旨として行うこと。

五 こども施策の実施に当たっては、希望する者が安心してこどもを生み、育てることができる社会の実現を図るため、結婚、妊娠・出産、育児及びこどもの成長に関する支援が切れ目なく行われるよう十分配慮すること。また、これまで支援が届きにくかった中学校卒業後又は高等学校中退後に修学も就業もしていないこどもや若者も支援の対象とすること。

六 長引くコロナ禍の影響等により、子育て世帯の生活が厳しさを増していることを踏まえ、子育て世帯への支援の拡充策について検討した上で、必要な措置を講ずること。

七 保護者の経済的な状況など生まれ育った環境によってこどもの成長が左右されることのないよう、子どもの貧困率の低減に取り組むこと。

八 保育士や幼稚園教諭をはじめ、子育て支援の現場で働く職員について、更なる処遇改善について検討を行うこと。また、子育て支援の現場で働く職員数の不足等により、必要な支援が停滞することがないよう新たな人材を確保するための方策を検討するとともに、職員の業務負担の軽減に努めること。

九 こどもに関する支援に資する情報の共有を促進するための情報通信技術の活用その他の必要な措置について、個人情報の適正な取扱いを確保するに当たっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の義務規定を遵守するだけでなく、その基本理念を踏まえ、経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会勧告も参考としつつ、こども及び父母その他の保護者の私生活の自由に配慮するものとすること。

十 こどもに関するデータや統計の活用に当たっては、政府全体として収集すべきデータを精査し、各府省庁が連携してデータを収集・分析する環境を構築するとともに、収集したデータに基づいて各種施策の評価及び改善策の検討を行い、その内容を必要に応じ国会に報告すること。

十一 日本国内のこども並びにこどもに関わる大人及びこどもを養育中の保護者を含むあらゆる大人に対する、児童の権利に関する条約の趣旨や内容等についての普及啓発に、その認知度を把握しつつ取り組むこと。

十二 基本理念にのっとったこども施策の一層の推進のために必要な方策については、必要に応じ、本法の施行後五年を待つことなく、速やかに検討を加え、その結果に基づき、法制上の措置その他の必要な措置を講ずること。

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