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   畜産経営の安定に関する法律及び独立行政法人農畜産業振興機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 我が国の酪農は、生産者の努力の積重ねにより、先進的な経営を実現させてきた。しかしながら、担い手の高齢化や後継者不足を背景に飼養戸数、飼養頭数ともに減少しており、生産基盤の強化に向けて、生産現場では総力を挙げての取組が懸命に続けられている。こうした状況を踏まえ、補給金制度の改革は、生産現場における不安や混乱を払拭し、経営意欲の維持向上が図られるよう、消費者への国産牛乳・乳製品の安定供給と生産者の所得の増大を旨として進める必要がある。

 よって政府は、本法の施行に当たり、生産者が将来に明るい展望を描けるよう、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                記

一 新たな補給金制度の運用に当たっては、制度の目的を踏まえ、現行の指定生乳生産者団体に出荷する生産者が不公平感を感じないようにするとともに、事業者が乱立した結果、乳価交渉力強化・用途別安定供給・共同販売体制の強化などの現行の指定生乳生産者団体の機能が損なわれないよう、万全の措置を講ずるとともに、その機能強化に向けた取組を後押しすべく、万全の措置を講ずること。

二 補給金交付の要件となる年間販売計画は、飲用向けと乳製品向けへの調整の実効性が担保されるものとすること。

三 補給金の算定に当たっては、牛乳・乳製品の需給の安定等を通じた酪農経営の安定を図り、国民消費生活の安定に寄与するため、生乳の再生産が確保されるよう、その単価を適切に設定すること。

四 集送乳調整金については、条件不利地を含む広域的な地域から、正当な理由なく集乳を拒まない事業者にのみ交付する仕組みとし、その単価を適切に設定すること。

五 部分委託については、場当たり的な利用を確実に排除し、年間を通じた用途別の需要に応じた安定的な取引が確保され、生産者間の不公平が生じないよう、厳格な基準を設定し、その適切な運用を図ること。

六 現行の指定生乳生産者団体が新制度における指定生乳生産者団体に円滑に移行できるよう、関係者の意向や実態を十分踏まえた適切な措置を講ずること。

七 対象事業者に対する指導及び助言に当たっては、生産者の公平な取引であるかなど、必要に応じて国が調査し、実効性ある改善指導を行うこと。

八 政令及び農林水産省令並びに関連通知については、年間を通じた用途別の需要に応じた安定的な取引が行われ、用途別安定供給に支障をきたすことがないよう、適切に制定すること。

九 酪農家は農業者の中でもとりわけ過酷な労働条件にあることから、その改善を図るため、酪農ヘルパーの充実や公共牧場等を活用した育成の外部化を支援するとともに、搾乳ロボットやミルキングパーラーをはじめとする省力化機器や施設の整備に対して集中的に支援を行うこと。

  こうした生産基盤対策等の支援は、地域を支える中小規模の家族経営体が十分活用できるよう配慮すること。

十 規制改革推進会議等の意見については、参考とするにとどめ、現場実態を踏まえ、酪農生産基盤の強化に資するものとなることを第一義とし、制度の運用を行うこと。

右決議する。

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