家畜改良増殖法の一部を改正する法律案及び家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律案に対する附帯決議
和牛を始めとする我が国の畜産物は世界的にも評価が高まっており、その安定的な生産のために必要となる家畜人工授精用精液・受精卵は長年にわたる改良の成果である付加価値の向上により知的財産としての価値を有し、我が国畜産業における競争力の源泉の一つとされている。これが不正に流通することのないよう、その管理保護を強化することは、我が国畜産の振興を図る上で極めて重要な課題である。
よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
記
一 国内における不正流通のリスクを低減するため、各地域での実情に応じた家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理の仕組みを構築することが肝要である。そのため、国が適切な流通管理のための方針を示すなど主導的にその構築を推進すること。
二 家畜人工授精用精液・受精卵の不正な海外持ち出し等の防止を徹底するため、畜産関係者はもとより、動物検疫所、税関、空海港管理組織、運輸業者、液体窒素の供給事業者等の協力・連携体制を構築・強化すること。
三 家畜人工授精用精液・受精卵の流通管理において重要な役割を果たしている家畜人工授精師が不断に技術や知識を磨くための機会の確保に努めること。
四 家畜人工授精用精液・受精卵の流通規制の強化等に当たっては、現場が混乱することのないよう、その周知徹底を図り、確実な実施を担保するとともに、現場の負担を極力軽減するよう十分配慮すること。
五 家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に係る新たな制度については、家畜遺伝資源の知的財産としての価値を強力に保護するため、その趣旨及び内容を幅広く関係者に周知し、不正競争の未然防止に努めること。
六 外国産WAGYUが国外で流通している実態を踏まえ、国内外の市場における我が国の和牛ブランドの確立・浸透の取組を一層強化すること。
七 国内外における我が国畜産物の需要増に対応するため、中小規模の家族経営も含めた生産基盤の強化による増産への取組を支援すること。
八 我が国畜産振興に影響を及ぼすアフリカ豚熱の侵入脅威に対処するため、輸入禁止畜産物を所持した者の入国を阻止するための制度について早急に検討すること。
右決議する。