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環境と調和のとれた食料システムの確立のための環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律案に対する附帯決議

 

 近年、気候変動や生物の多様性の低下等、農林水産物及び食品の生産から消費に至る食料システムを取り巻く環境が大きく変化しており、農林漁業及び食品産業における環境への負荷を低減していくことが重要となっている。また、世界情勢の変化により国民の食料安全保障への関心が高まる中、将来にわたる農林漁業及び食品産業の持続的な発展と食料の安定供給を確保するため、農林水産物等の生産から販売に至る各段階で環境への負荷を低減し、こうした農林水産物等の流通及び消費が広く行われる環境と調和のとれた食料システムを確立することが喫緊の課題となっている。

 よって政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

                 記

一 環境と調和のとれた食料システムについては、農林漁業者、食品事業者、消費者等の幅広い関係者の理解の下、これらの者が連携することにより、その確立が図られるものであることに鑑み、国が必要な施策の検討及び実施を行うに当たっては、農林漁業者等、特定の者のみに過度な負担をもたらすことがないよう配慮するとともに、農林水産物・食品の付加価値を高め、農林漁業者をはじめとする関係者の経営の発展、農山漁村の活性化に資するよう努めること。

二 農林漁業における環境への負荷の低減の取組が正当に評価されるよう、特に消費者及び食品事業者の理解の醸成、学校教育等の場を通じた食育の推進に取り組むこと。具体的には、販売面における対策の強化として、消費者等に分かりやすい表示・広報、環境への負荷の低減の状況を把握する手法、販路開拓に向けた支援の在り方等について検討し、その結果に基づき所要の措置を講ずること。

三 環境への負荷の低減に向けて、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本とした有機農業の実践を生産現場で容易にする栽培技術の確立や、当該技術を普及する人材の育成・確保に努めること。

四 環境と調和のとれた食料システムの確立に向けた先進的な取組の実践等に寄与した農林漁業者並びに食品製造・加工業、卸売・小売等の流通業、飲食業その他の食品事業者等の顕彰に努めること。

五 基本方針の作成に当たっては、食料システムを構成する生産から消費に至る各段階の関係者の意見を丁寧に聴取し反映させること。

六 市町村及び都道府県の基本計画の作成等に当たっては、地域の合意形成に配慮して行われるよう国としても必要な助言等を行うとともに、これらの事務を担う市町村及び都道府県に過度な負担をもたらすことがないよう、市町村及び都道府県の実情に応じた適切な配慮を行うこと。

七 農林漁業において、規模の大小を問わず多様な経営体が重要な役割を果たしていることに鑑み、これらの経営体が意欲を持って環境負荷低減事業活動等に携わることができるよう必要な支援を行うこと。

八 有機農業等に取り組む生産者は慣行農業に取り組む生産者とともに地域農業を担う主体であることを十分に踏まえ、これらの生産者の交流・連携が一層進展するよう環境整備を図ること。

右決議する。

 

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