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   福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。

 

一 特定帰還居住区域の避難指示解除に向け、住民が安心して帰還できるよう、各地域の現状や住民・地元自治体等の意向を十分に踏まえ、生活圏を幅広く捉えながら、除染の手法・範囲等を決定するとともに、住民間の分断や不公平が生じないよう十分に配慮し、早期に除染や環境整備等に取り組むこと。

 

二 帰還意向のない住民の土地・家屋等の扱いについては、住民・地元自治体等と協議を重ね、その意向を十分に踏まえながら、可能な限り早急に方針を示すこと。

 

三 政府は、帰還政策に加え、移住政策を推進するとしても、自主避難者、県外避難者を含めた避難者の人権を最大限尊重し、最後の一人に至るまで必要な支援を継続すること。

 

四 特定帰還居住区域の設定に当たっては、長期にわたり避難生活を行ってきた避難者の事情を十分に考慮し、当面の間、住民の意向を踏まえ、柔軟に対応し、避難先と特定帰還居住区域での二地域での居住等、多様な帰還の在り方を認めること。

 

五 帰還者等の安全を確保し、安心して生活できるよう、国は生活環境整備を着実に実施した上で、将来的に帰還困難区域全ての避難指示解除を行うこと。また、福島の森林・林業の再生や帰還環境の整備に向けた必要な措置を講じること。

 

六 避難指示解除区域等に帰還した住民が安心して生活できる環境を整えるため、引き続き、営農再開、事業・生業の再生、教育環境、医療、介護・福祉サービスの再構築を進めるための支援を継続すること。

 

七 避難指示解除区域等の帰還環境の整備に加え、福島国際研究教育機構の設立により、移住・定住の推進、交流・関係人口の拡大が見込まれることから、帰還者と移住者が共生できるまちづくりを進めること。その際、地域の伝統や文化の再構築にも十分配慮すること。

 

八 福島浜通り地域等はいまだ人口が回復しておらず、産業の担い手不足が続いており、働く場を十分に確保する必要があることから、福島国際研究教育機構の設立に伴う産業集積に資する必要な支援を継続すること。

 

九 福島浜通り地域等が持続的な発展を遂げるには、復興をリードする地域の人材育成が重要であることから、地域の教育機関等との連携の下、地域の高専生や高校生を始め、小中学生も含めたシームレスな形での福島国際研究教育機構による地域人材に対する育成の仕組みを構築するなど、機構の教育機能を充実させること。また、福島国際研究教育機構が世界に冠たる創造的復興の中核拠点となるよう世界最先端の研究を実施するのにふさわしい研究マネジメント体制を早急に構築すること。

 

十 重要な課題であるALPS処理水の処分については、これまで以上に積極的な情報公開や広報活動を行うことによって国民的議論を深め、関係者の声に真摯に耳を傾けつつ、誠意を持って丁寧かつ十分な説明を重ね、信頼関係を構築すること。ALPS処理水の処分により、新たな風評を発生させず、事業者が将来に向け安心して事業を継続していけるようにするとともに、諸外国への輸入規制撤廃に向けた更なる働き掛け、食の安全確保や放射線に関する理解の増進など、国を挙げて風評払拭に取り組むこと。

 

十一 福島県内の除去土壌等の中間貯蔵開始後三十年以内の県外最終処分に向け、全国民的な理解醸成を確実に推進するとともに、県外最終処分に向けた具体的な方針・工程を早期に明示し、県民・国民の目に見える形で取組を加速させること。

 

十二 原子力災害における国の責務として、「第二期復興・創生期間」以降も必要な財源を確実に確保するとともに、福島の復興・再生の実現に向けた総合的な支援措置を継続すること。

 

十三 東日本大震災により被災した全ての自治体が、真の復興を成し遂げるためにも、政府は、引き続ききめ細やかに被災者の心のケアや孤独死防止対策等の課題に対応するとともに、活力あるまちづくりの実現に向けた移住施策や企業誘致の取組を着実に進めること。被災した全ての自治体が、残された課題の解決に向け、不安なく取組を進められるよう、今後も復興特別所得税等による必要な財源の確保に努めること。

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