福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、本法の施行に当たり、左記事項の実現に万全を期すべきである。
一 一団地の復興再生拠点整備制度については、対象となる市町村に制度内容の丁寧な説明を行うとともに、大熊町大川原地区以外にも制度の適用を希望する市町村が幅広く活用できるようにすること。また、活用の前提となる除染を着実に進めること。
二 帰還環境整備交付金については、地方自治体がその地域の特性に即して自主的かつ主体的に事業を実施することを旨として交付されるものとすること。また、復興の進捗状況に合わせ、必要に応じ対象事業を追加するとともに、機動的かつ柔軟な執行が必要な事業について基金化できるようにすること。
三 住民の帰還に必要な環境整備を加速化する具体的な措置として、風評被害への対策、JR常磐線等公共交通機関の早期復旧、医療・介護・福祉等の人材確保、子どもの体力向上等に資する教育環境の改善、文化・伝統芸能の継承等の施策を継続的に講ずること。
四 ロボット産業をはじめ、イノベーション・コースト構想を早期に具体化するため、十分な予算を確保すること。
五 自主的避難者を含め今なお約十二万人が避難している福島の状況を踏まえ、避難者の心のケア、高齢者をはじめとした避難者の見守りや相談体制を充実するため、また、子どもの健康・生活等に対する支援を充実するための財政支援をはじめとした必要な措置を講ずること。
六 鳥獣被害に伴う避難指示区域内の家屋、農地の荒廃等の現状を踏まえ、国による鳥獣被害対策を着実に実施すること。
七 福島の記憶を風化させることなく、復興及び再生を推進する各種施策を着実に講ずるため、平成二十八年度以降の復興支援の枠組みについては、長期かつ十分な予算確保を定めた財源フレームとするとともに、地方自治体における人的資源の確保への支援措置の強化を図ること。
八 東日本大震災からの復興のための税制上の特例のうち、平成二十七年度末で期限を迎えるものについては、原子力災害に伴い福島の産業復興が遅れていることを踏まえ、延長について検討すること。