衆議院

メインへスキップ



   公益通報者保護法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 公益通報を理由とした不利益取扱いに関し、解雇・懲戒に加え、通報に対する報復を目的とした配置転換についても無効とした上で、民事裁判において事業者側に立証責任を負わせること及び当該配置転換を行った者に対する刑事罰の適用についての検討を行うこと。

 

二 公益通報を行おうとする者が躊躇することのないよう、資料の持ち出し等のいわゆる「公益通報に付随する行為」に関しても、公益通報を理由とした不利益取扱いと同様に解雇・懲戒について禁止するとともに、これを無効とした上で、民事裁判において事業者に立証責任を負わせること及び「公益通報に付随する行為」を理由に解雇・懲戒を行った者に対する刑事罰の適用についての検討を行うこと。

 

三 公益通報の通報先である内部通報窓口の充実を図るため、公益通報対応体制整備義務の対象事業者の拡大についての検討を行うこと。

 

四 事業者における通報の妨害及び通報者探索の禁止対象とならない「正当な理由」について、考え方を明らかにするとともに、内閣総理大臣が定める指針等において、潜脱的な行為を防ぐため、その範囲を限定して規定した上で適切な周知を行うこと。

 

五 昨今の地方公共団体における公益通報制度に係る事案を念頭に、消費者庁は地方公共団体に対する地方自治法に基づく技術的助言を行うとともに、地方自治の本旨を踏まえ、本法第二十条にある国及び地方公共団体への除外規定の在り方についての検討を行うこと。

 

六 濫用的通報が公益通報対応業務従事者等の内部通報担当者の負担となることに鑑み、消費者庁は法が適正に運用されることを目的として濫用的通報の実態を調査し、その結果を踏まえ必要な措置を検討すること。

 

七 消費者庁は、内部通報体制整備義務の履行を徹底し、新設された立入検査権を実効性あるものとするため、同庁内部の人材育成・人員増強・必要な予算の確保を行うとともに、将来的に本法の規定に違反した事業者に対する行政措置を十分に担うことのできる体制を整えるための組織的基盤の強化を図ること。

 

八 本法附則第九条に基づく本法の見直しは、本委員会での審議を踏まえ、「公益通報者保護制度検討会報告書」に挙げられた検討項目等の諸課題について、速やかに随時立法事実の収集に努め、必要に応じて改正についての具体的な検討を行うこと。

 

九 本法附則第九条に基づく検討に当たっては前述したものに加え、正当な理由のない通報者探索に対する規制の在り方、保護される者の範囲の更なる拡大、公益通報に該当する行為に係る刑事上の責任の免除、公益通報に関する紛争の迅速かつ適正な解決に資する制度の在り方、通報対象事実の範囲の抜本的な見直し、事業者の内部通報窓口の設置に係る負担軽減等についても検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

 

衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.