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不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 

一 不当表示の抑止に係る実効性の観点から、本法の施行状況について不断の評価を継続し、上乗せ課徴金算定率の導入、罰則導入等によって、不当表示に対する十分な抑止力が働いたか否かを改めて評価し、抑止力が不十分と評価された場合には、原則的な課徴金算定率の引上げ、課徴金対象期間の延長、規模基準の引下げ、罰則の強化等について検討すること。また、業務停止命令等が可能な特定商取引法の執行と連携し、表示違反行為に対して両法律を適切かつ有効に活用すること。

 

二 確約手続については、ガイドライン等により、確約手続を利用し得る事案・事業者の対象範囲や、消費者に対し妥当な額を算定して返金することが確約措置の十分性を満たすために有益であること及び確約手続の対象となった事業者名・事案の概要を公表することを明確にすること。また、法改正後にガイドライン等の詳細を速やかに明らかにすること。

 

三 ステルスマーケティングを景品表示法第五条第三号の指定告示事項として不当表示規制の対象に取り込んだ結果として、インターネットを始めとする通信技術の発達により今後も生起しうる、消費者の自主的意思決定に不当な影響を及ぼす表示について必要十分な抑止機能が働いているか否かにつき、関連する消費者被害の発生状況・態様を継続して注視し、必要に応じて告示・ガイドラインの変更を迅速・柔軟に検討していくこと。

 

四 景品表示法検討会の報告書において中長期的に検討すべき課題と整理された課徴金の対象の拡大や、差止請求の範囲の見直しについて、指定告示に係る表示の執行状況も注視しつつ、更なる検討を行うこと。また、同様に中長期的に検討すべき課題と整理されたデジタルの表示の保存義務や、供給要件を満たさない者への規制対象の拡大についても、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の取組状況も注視しつつ、更なる検討を行うこと。

 

五 返金措置による課徴金額の減額等については、事業者が行う返金措置の実施方法が弾力化されたことに伴い、事業者に対し、金銭と同様に通常使用することができるものに限られることを周知するとともに、事業者が提出する返金措置計画を認定する際には、消費者庁は当該計画が適正なものであるか否かについて厳正に判断を行うこと。

 

六 消費者裁判手続特例法第九十一条第一項により、内閣総理大臣が特定適格消費者団体に対して提供できる書類として、景品表示法に基づく処分に関して作成したものも提供できるよう、同法同条項の施行後の運用実態を踏まえ検討すること。

 

七 通信技術の発展により、今後もインターネット上での不当表示の増加が予想されることから、消費者庁において景品表示法の運用に必要となる人員の適正な配置を行い、十分な予算を確保するとともに、より一層、都道府県と密接な連携をとること。

 

八 広告・表示の適正化に向けた事業者団体や消費者団体等による自主的な取組を促進するため、情報の提供を始め、財政的支援その他の必要な支援を行うこと。とりわけ、景品表示法に基づく適格消費者団体の差止請求については、国・都道府県がなすべき行政処分を補完するものとして機能している社会的実態を踏まえ、当該団体に対する財政的支援その他の必要な支援について検討すること。また、本法により導入される適格消費者団体による開示要請規定の施行状況を踏まえ、必要な場合には、更なる適格消費者団体の立証負担の軽減策について検討を行うこと。

 

九 外国の事業者から我が国の一般消費者に対して行う不当表示が増加する可能性があることを踏まえ、厳正な執行の観点から、今後も国際化の進展に対応する制度を整備・拡充すること。

 

十 消費者が商品や役務の取引を行うに当たり判断の情報源となるデジタル広告表示の保存に関し、消費者庁は事業者に対し「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」の更なる周知徹底に努めること。

 

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