消費者契約法及び独立行政法人国民生活センター法の一部を改正する法律案並びに法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案に対する附帯決議
政府は、両法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律附則第五条の検討に当たっては、国会における審議において実効性に課題が示された点について検討し、必要な措置を講ずること。
二 円滑な法運用を可能とすべく、法施行後、政府は速やかに行政措置の基準を示すとともに、配慮義務の内容についても具体例を示すなどして周知すること。
三 効果的に取消権の行使や配慮義務規定の活用ができるようにするため、政府は、法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律案(以下「新法」という)及び消費者契約法改正案の国会における審議を踏まえて、その解釈について、十分な周知をすること。
四 禁止行為の違反に対する法人等への勧告・命令を実効あるものとするため、罰則の適用に当たっては、実行者のみが制裁対象となることがないよう併科規定を設けた趣旨を踏まえ、新法の規定内容・趣旨について、関係機関等に対して周知すること。
五 悪質な勧誘行為を受けたことにより、取消権又は債権者代位権を有している者が、実際にはその取消権又は債権者代位権を行使することができない事態が生じないよう、きめ細かな相談体制を構築するとともに、相談体制の整備に留まらず、権利行使の実効性確保に必要な支援措置を十分に講ずること。
六 親権者が寄附をしている場合には未成年の子が債権者代位権を行使することは困難であることから、未成年者の子の援助を充実すること。
七 法テラスの活用については、相談体制を整備するとともに、被害回復に向けた返還請求訴訟等につなげるよう、利用者にとって必要な支援措置を十分講ずること。
八 親族間の問題、心の悩み、宗教二世を含むこどもが抱える問題等の解決に向け、法的支援にとどまらず、心理専門によるカウンセリング等の精神的支援、児童虐待や生活困窮問題の解決に向けた支援等を一体的・迅速に提供するなどの支援体制を構築すること。
九 円滑な法運用を可能とすべく、法施行後、政府は速やかに条文解説、Q&Aなどを作成し、ホームページ等において公表すること。また、禁止行為の違反に対する行政措置については、当該措置が十分に機能するよう体制を整備すること。
十 消費者契約法については、行政措置を導入して民事ルールと相まって被害の防止・救済を実現しようとする新法の意義や配慮義務その他の規定に係る新法の成立過程における国会での議論も踏まえて、第二百八回国会における附帯決議で求められた、同法の消費者法令における役割を多角的見地から整理し直した上で、既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定の在り方についての検討をすすめること。
十一 消費者契約法第四十条により、独立行政法人国民生活センター及び地方公共団体が、適格消費者団体に対し提供する消費者紛争に関する情報を内閣府令で定める際には、消費者取引に関連する幅広い情報が提供できるよう検討すること。
十二 独立行政法人国民生活センターは、独立行政法人国民生活センター法第四十二条第二項による公表について、消費者被害の拡大を防ぐため、事業者の名称を迅速に公表することができるよう体制を整備すること。