放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議
政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。
一 協会は、正確で信頼できる、社会の基本的な情報を発信するとともに、近年深刻化している「偽情報・誤情報の流通」を防止する取組等を通じて、健全な民主主義の発達に資するという放送の社会的使命を果たすこと。
二 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、協会を含めた放送事業者の番組編集について、引き続き自主・自律性を尊重すること。
三 協会は、不断の経営改革により、できる限り早期に赤字予算を解消し、受信料収入と事業規模との均衡を確保するとともに、中期経営計画で掲げた事業支出の削減が、サービスやコンテンツの質の低下を招かないよう、また、協会の職員や関連団体に過度な負担を生じさせないよう配慮すること。
四 協会は、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民・視聴者の理解の促進や信頼感の継続的な醸成を通じて、支払率の改善に努めること。また、放送を受信する視聴者の減少を見据え、受信料の在り方を含め、協会の運営を持続可能なものとするための基本的な考え方を早期に提示すること。
五 協会は、経営委員会及び理事会等における意思決定の内容やその過程を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、放送法その他の法令に基づく文書等を適切に作成・管理を行うとともに、原則として公表すること。
六 協会は、令和六年八月十九日のラジオ国際放送において、協会が自ら定めた番組基準に反する放送が行われた事案を踏まえ、協会が定めた再発防止策を着実に実施するなど、放送の適正性の確保に努めること。
七 協会は、経営改革の実行に当たっては、協会の職員の雇用の確保及び処遇の改善に十分配慮すること。なお、協会の職員の給与については、他の民間企業従業員の賃金や物価の上昇等を踏まえた適正な水準とすること。また、上記の趣旨を踏まえ、関連団体の従業員の勤務条件の向上に配慮すること。
八 協会は、協会の不十分な労務管理により職員の尊い生命が失われた事実を厳粛に受け止め、今後も協会の業務に携わる者の命と健康を最優先し、適正な業務運営と労働環境の改善に不断に取り組むとともに、障害者の雇用率の向上及び女性の採用・登用の拡大について目標を設定し、その目標の達成に努めること。
九 協会は、インターネットを活用した業務の実施に当たっては、民間の事業に及ぼす影響に留意しつつ、引き続き正確で信頼できる、社会の基本的な情報を発信するとともに、国民・視聴者のニーズや動向を踏まえたコンテンツの提供に努めること。なお、番組関連情報の提供に当たっては、番組関連情報が「偽情報・誤情報の流通」の防止に資するものとなるよう十分に留意すること。
十 協会は、音声波の削減については、ラジオ放送が災害時において情報提供手段として高い有用性があること、ラジオ第二放送が民間放送事業者の手掛けにくい教育・教養番組の放送を多面的に行っていること等を踏まえ、削減後の音声サービスを具体的にどのように改編し、提供してゆくのか、早期に国民・視聴者へ示すこと。
十一 協会は、放送センターの建設計画の抜本的な見直しの具体的な内容を早急に明らかにするとともに、国民・視聴者の理解が得られるよう説明を尽くすこと。
十二 協会は、災害によって放送が途絶した事実を踏まえ、耐災害性の強化に資する取組を更に促進すること。