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   所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議

 

 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 

一 NISA制度の抜本的拡充に当たっては、制度の適切な広報・周知により利用の促進を図るとともに、長期的かつ小規模な投資による資産所得の形成支援という趣旨を逸脱した利用、例えば、短期の回転売買などを抑制するための対策を講ずること。また、「貯蓄から投資へ」の観点から、適切に金融資産の選択・運用が行われるよう国民の金融リテラシー向上に努めること。あわせて、市場の国債消化能力等の観点から、家計金融資産の動向を注視すること。

 

二 「貯蓄から投資へ」の推進が資本逃避による円安を招くことがないよう、民間企業の賃上げや設備投資等を引き続き支援し、国内企業の生産性を向上することによって企業価値を高め、投資資金が国内企業へ十分に供給されるよう努めること。

 

三 実質賃金が上昇しない中、物価の高騰が加速し、所得格差と資産格差が拡大しており、税負担の公平性確保や再分配機能を強化する観点から所得税の課税の在り方について検討を行い、その結果をもって必要な改革を実行するよう努めること。

 

四 スタートアップへの再投資に係る非課税措置については、より多くの資金がスタートアップ企業をより柔軟に支援するための投資に充てられるよう、制度の利用状況及びその効果を踏まえ、必要に応じ適切な措置を検討すること。

 

五 適格請求書等保存方式(インボイス制度)実施に当たっては、同制度に対してなお慎重な意見があることを踏まえ、免税事業者の取引からの排除や廃業という深刻な事態が生じないよう最大限の配慮を行うとともに、免税事業者が課税事業者に転換する場合の事務負担についても軽減されるよう努めること。

 

六 高水準で推移する申告件数及び滞納税額、経済取引の国際化・広域化・ICT化による調査・徴収事務等の複雑・困難化、新たな経済活動の拡大、軽減税率制度実施等への対応など社会情勢の変化による事務量の増大に鑑み、適正かつ公平な課税及び徴収の実現を図り、国の財政基盤である税の歳入を確保するため、国税職員の定員確保、職務の困難性・特殊性を適正に評価した給与水準の確保など処遇の改善、機構の充実及び職場環境の整備に特段の努力を払うこと。

  特に、社会的関心の高い消費税の不正還付防止への対応、国際的な租税回避行為や富裕層への対応を強化し、更には納税者全体への税務コンプライアンス向上を図るため、定員の拡充及び職員の育成等、従来にも増した税務執行体制の強化に努めること。

 

七 新型コロナウイルス感染症をめぐる現状を踏まえ、国税職員を含む財務省職員の健康管理の徹底等、感染拡大防止に万全を期すとともに、必要に応じ迅速かつ適切な措置を講ずること。

 

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