関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 関税率の改正に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業に及ぼす影響を十分に配慮しつつ、調和のとれた対外経済関係の強化及び国民生活の安定・向上に寄与するよう努めること。
二 特例輸入者による特例申告の納期限の延長に係る担保の取扱い緩和については、その運用が恣意的になって一部の事業者に対する過度な優遇につながらないよう留意し、関税等の徴収に支障を来すことのないよう財務状況の確認を徹底するとともに、AEO(認定事業者)制度については、国際物流におけるセキュリティ確保と貿易の円滑化の両立を一層図っていく観点から、AEO認定の審査、事後監査に万全を期すよう努めること。
三 最近における社会のデジタル化といった経済・社会構造の変動に伴う輸入申告件数の急増や新型コロナウイルス感染症に関する水際措置の終了に伴う訪日外国人旅行者数の回復など、税関を取り巻く環境が急速に変化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等の不正薬物、銃器、金地金、知的財産侵害物品やテロ関連物品等の密輸を阻止するとともにロシア等に対する輸出入規制や経済安全保障へも対応し、水際において国民の安全・安心を確保しつつ、二〇二五年に開催される大阪・関西万博におけるテロ対策や展示物等の的確かつ迅速な通関等を通じ安全かつ円滑な開催に寄与するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構・職場環境の充実、取締検査機器等を含む業務処理体制の整備及び安全管理の徹底等に特段の努力を払うこと。