資金決済に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 第二条の二第二号に規定する資金移動業規制の適用除外を定める内閣府令の制定に当たっては、その範囲を必要かつ適切なものとするため、違法オンラインカジノの利用を通じた財産的損失や犯罪関与、海外投資詐欺等による詐欺被害及び利用者の二重支払いといった利用者保護上のリスクと民間経済活動への影響を的確に把握すること等を目的とした相談窓口を本法の公布後速やかに設置し、既存の決済サービスを提供・利用する事業者を含め、より多くの関係者からの丁寧な意見聴取に努めること。
二 一の内閣府令の制定に当たっては、事業者に過度な不安や混乱を生じさせることのないよう、また、違法オンラインカジノや海外投資詐欺、利用者の二重支払いといった利用者保護の必要性が認められるもの以外が規制対象とならないよう十分に配慮し、当該内閣府令において、現時点で想定されているプラットフォーマーが収納代行業者となる場合等の適用除外の複数類型を明示するとともに、当該類型への該当可能性に関する当局の基本的な考え方について、公表又は個別の相談等を通じて周知することにより、規制の適用範囲が可能な限り萎縮を招かない明確なものとなるよう努めること。また、当該資金移動業規制の適用除外の範囲については、本法の施行後の状況の変化を的確に把握し、必要に応じて適切な見直しに努めること。
三 第二条の二第二号の規定により、違法オンラインカジノ及び海外投資詐欺等に係る収納代行が為替取引に該当することが明確化され、当該収納代行が法律上の無登録営業となることで、これらの違法行為の取締り環境が変化することを受け、政府として金融庁と警察庁の連携強化及び各種の提供された情報の分析体制の強化をはじめとする、より一層の取締り対策強化を図ること。
四 本法に基づく制度の運用に当たっては、利用者保護を確保しつつ、イノベーションを促進するため、当局の実効性のあるモニタリング及び新たに資金移動業に登録申請する事業者の登録審査が円滑に実施されるよう、金融庁及び財務局において必要な機構・定員を確保し、実効的な態勢を確立するよう努めること。