関税定率法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
一 関税率の設定に当たっては、我が国の貿易をめぐる諸情勢を踏まえ、国民経済的な視点から国内産業、特に農林水産業及び中小企業の利益を十分に配慮しつつ、国民生活の安定・向上に寄与するよう努めるとともに、過度な恩恵を相手国に与えず調和のとれた対外経済関係の強化を図ること。
二 関税の基本税率を引き下げるための暫定税率については、その恩恵の規模や産業等について適用実態の公開を進めた上で、国内産業保護、消費者等の利益確保、国際交渉上の必要性等を具体的に考慮し、真に必要かつ合理的と認められるものに限り、適用期限の延長措置を講じること。
三 自由貿易が人類の繁栄と世界の平和をもたらすとの基本的な考えに基づき、自由で公正・公平な経済秩序の維持・強化を推進するため、我が国の関税制度を不断に見直すとともに、保護主義的な政策が広まらないよう、諸外国及び国際機関との連携を強化すること。
四 最近における社会のデジタル化の進展等の技術革新、厳しさを増す安全保障環境など、税関を取り巻く経済・社会情勢が急速に変化する中で、適正かつ迅速な税関業務の実現を図り、また、覚醒剤等の不正薬物、銃器、金地金、知的財産侵害物品やテロ関連物品等の密輸を阻止するとともにロシア等に対する輸出入規制や経済安全保障へも対応し、水際において国民の安全・安心を確保しつつ、本年開催される大阪・関西万博におけるテロ対策や展示物等の的確かつ迅速な通関等を通じ安全かつ円滑な開催に寄与するため、高度な専門性を要する職務に従事する税関職員の定員の確保、処遇改善、機構・職場環境の充実、取締検査機器等を含む業務処理体制の整備及び安全管理の徹底等に特段の努力を払うこと。