災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)の概要
本案は、令和六年能登半島地震から得られた教訓を今後に生かし、災害対策の強化を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 災害対策基本法の一部改正
1 災害の定義の例示として、地盤の液状化を追加すること。
2 国及び地方公共団体が行う被災者援護への協力業務を行う法人等は、内閣総理大臣の登録を受けることができるものとし、市町村長から被災者台帳の情報の提供を受けることを可能とすること。
3 地方公共団体の長は、毎年一回、物資の備蓄の状況を公表しなければならないものとすること。
4 指定行政機関の長等は、災害応急対策について、事態に照らし緊急の必要がある場合、都道府県知事からの要求を待たないで応援をすることができること。
5 災害応急対策責任者は、避難所の運営状況及び被災者の状況に関する情報を把握し、避難所等における福祉サービスの提供、情報の提供等に努めるとともに、情報の把握及び提供に当たっては、情報通信技術その他の先端的な技術の活用に努めなければならないものとすること。
6 広域一時滞在の協議に際し、協議元及び協議先の市町村長は、被災住民の情報を共有するとともに、協議先の市町村長は、被災住民に対し援護に関する情報を提供すること。
二 災害救助法の一部改正
1 救助の種類として、福祉サービスの提供を追加すること。
2 都道府県知事等は、救助に関する業務に、福祉関係者を従事させることができ、また、登録被災者援護協力団体を協力させることができること。
三 水道法の一部改正
日本下水道事業団の業務に地方公共団体との協定に基づく水道施設の復旧工事を追加し、また、水道事業者は、配水管の復旧のため、水の供給を受ける者の土地に立ち入ることができるものとすること。
四 大規模災害からの復興に関する法律の一部改正
都市計画に一団地の復興拠点市街地形成施設を定めることができる災害の範囲を拡大すること。
五 内閣府設置法の一部改正
内閣府に、防災に関する事務を統理する防災監一人を置くこと。
六 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。