社会保障に関する日本国とオーストリア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)概要
本件は、標記の協定の締結について、国会の承認を求めるものである。
この協定は、我が国とオーストリアとの間で、年金制度、医療保険制度等への強制加入に関する法令の適用について両国間で調整を行い、両国の関係法令が同時に適用されることを回避することにより、相手国に一時的に派遣された被用者等についての保険料の二重負担の問題等を解決すること及び年金を受給する権利を取得するために必要とされる期間の計算に際して、相手国の制度に加入していた期間を自国の制度に加入していた期間と併せて計算することができるようにすることを主たる目的とするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この協定は、オーストリアについては、年金保険、疾病保険、災害保険及び失業保険について適用すること。
二 この協定は、日本国については、国民年金及び厚生年金保険に係る年金制度について、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法等により実施される医療保険制度について、並びに失業等給付に関する雇用保険制度について、それぞれ適用すること。
三 強制加入に関する法令の二重適用の回避のため、原則として、就労が行われる締約国の法令のみを適用すること。ただし、被用者又は自営業者が、一時的に相手国において就労する場合には、当該被用者については派遣(第三国の領域を経由する派遣を含む。)の期間が五年を超えない場合に自国の法令のみを適用することとし、当該自営業者についてはその居住国の法令のみを適用すること。
四 一方の締約国の年金を受給する権利を取得するために必要とされる期間の計算に際して、当該一方の締約国の法令による保険期間と重複しない限りにおいて、他方の締約国の法令による保険期間を考慮すること。