日本国の自衛隊とオーストラリア国防軍との間における相互のアクセス及び協力の円滑化に関する日本国とオーストラリアとの間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一号)の概要
本件は、標記の協定の締結について、国会の承認を求めるものである。
この協定は、日本国とオーストラリアとの間における互恵的な防衛協力を実施するための枠組みを設け、並びに訪問部隊及び文民構成員の地位を定めることにより、当該防衛協力を円滑にすることを目的とするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この協定の適用上、「文民構成員」とは、両締約国が相互に別段の決定を行う場合を除くほか、訪問部隊に随伴する派遣国の文民たる国民であって、訪問部隊に雇用され、又は訪問部隊に勤務するものをいい、また、「訪問部隊」とは、一方の締約国の部隊(日本国については自衛隊を、オーストラリアについてはオーストラリア国防軍をそれぞれいう。以下同じ。)であって、他方の締約国の同意を得て、二の協力活動に関連して当該他方の締約国の領域に所在するものをいうこと。
二 この協定は、両締約国が相互に決定して部隊が実施する協力活動(以下「協力活動」という。)であって接受国において実施されるものに関する事項について適用すること。
三 訪問部隊の構成員及び文民構成員(以下「訪問部隊の構成員等」という。)は、接受国への入国及び接受国からの出国に際し、接受国が定める手続に従うこと等を条件として、査証を申請する要件を免除されること。また、訪問部隊は、専ら訪問部隊又は文民構成員の公用のためのものである全ての資材等を税の免除を受けて接受国に輸入することができること。
四 訪問部隊の構成員等に対して刑事裁判権を行使する権利が競合する場合には、派遣国の当局は専ら派遣国の財産若しくは安全のみに対する罪等又は公務執行中に生ずる罪について、接受国の当局はその他の罪について、裁判権を行使する第一次の権利を有すること。
五 両締約国の当局は、接受国における訪問部隊の構成員等の逮捕及び裁判権を行使すべき当局へのこれらの者の引渡しについて相互に援助すること。
六 一方の締約国は、自国の部隊又は文民構成員が使用する自国の財産に対する損害及び自国の部隊の構成員又は文民構成員の公務執行中の負傷又は死亡が、この協定に基づく協力活動によって生じた場合には、他方の締約国に対する全ての請求権を放棄すること。
七 公務執行中の訪問部隊の構成員等の作為又は不作為であって、接受国において第三者の財産に損害を与え、又は第三者を負傷若しくは死亡させたものから生ずる請求権は、接受国が処理すること。
なお、協定の不可分の一部を成す附属書は、両締約国は、五の援助がこの協定の効力発生の時に有効な適用可能な国際協定に基づく自国の義務に反するといずれかの締約国が認める場合には、当該締約国の当局は当該援助を提供する義務を負わないことを相互に決定すること等を定めている。