海洋法に関する国際連合条約に基づくいずれの国の管轄にも属さない区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)概要
本件は、標記の協定の締結について、国会の承認を求めるものである。
この協定は、いずれの国の管轄にも属さない区域(この協定においては「公海及び深海底」を指し、以下「公海等」という。)において、海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用を確保するための措置等について定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 海洋遺伝資源
1 締約国は、公海等の海洋遺伝資源及び当該海洋遺伝資源に係るデジタル配列情報(以下「海洋遺伝資源等」という。)について、その採取及び利用に関する情報が情報交換の仕組みに通報されることを確保すること。
2 公海等の海洋遺伝資源等に関する活動から生ずる利益は、公正かつ衡平に配分し、並びに公海等における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に貢献するものとすること。
二 区域に基づく管理手段(海洋保護区を含む。)
1 区域に基づく管理手段の設定に関する提案は、締約国が単独で又は共同して事務局に提出することとし、締約国会議は、最終的な提案及び管理計画案並びに科学技術機関の助言及び勧告に基づき、区域に基づく管理手段の設定及び関連する措置について決定を行うものとすること。
2 締約国は、公海等で行われる自国の活動が締約国会議の決定と整合的に行われることを確保すること。
三 締約国は、公海等で実施される自国の管轄又は管理の下にある計画された活動を許可する前に、当該活動が海洋環境に及ぼす潜在的な影響がこの協定の規定に従って評価されることを確保すること。
四 締約国は、能力の開発並びに海洋科学及び海洋技術の発展及び移転を通じてこの協定の目的を達成するため、締約国(特に開発途上国である締約国)を支援するために協力すること。
五 締約国会議は、その第一回会合において、締約国会議及びその補助機関の手続規則並びに締約国会議の予算並びに事務局及び当該補助機関の予算を規律する財政規則をコンセンサス方式によって採択すること。
六 締約国は、その能力の範囲内で、自国の政策、優先度及び計画を考慮して、この協定の目的を達成するための活動に関する資金を提供すること。また、先進締約国は、金銭的な利益の配分方法について締約国会議が決定を行うまで、自国の分担金の五十パーセントの額の年次拠出金を特別基金に支払うこと。
なお、二つの附属書は、協定の不可分の一部を成し、附属書Iは区域に基づく管理手段の設定に関する提案に関し、区域の特定のための例示的な基準を規定し、附属書IIは能力の開発及び海洋技術の移転の種類に関し、それらの取組に含めることができる事項の例示について規定している。