調停による国際的な和解合意に関する国際連合条約の締結について承認を求めるの件(条約第八号)の概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、商事紛争の解決方法としての調停の利用を促進するため、調停による国際的な和解合意の執行等に関する枠組みについて定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この条約は、商事紛争を解決するために当事者が書面によって締結した調停による合意(以下「和解合意」という。)であって、その締結時に和解合意の二以上の当事者が異なる国に営業所を有する等の点で、国際的であるものについて適用し、消費者紛争、家事紛争及び労働紛争に関する和解合意等については適用しないこと。
二 この条約上、和解合意が「書面」によるとは、当該和解合意の内容がその形式のいかんを問わず記録されていることをいい、「調停」とは、紛争の当事者が、当該当事者に解決を強制する権限を有しない第三者(以下「調停人」という。)の支援を得て、当該紛争の友好的な解決を図る手続をいうこと。
三 各締約国は、この条約に定める条件の下に、かつ、自国の手続規則に従い、和解合意を執行するものとし、当事者が和解合意によって解決されたと主張する事項に関して紛争が生ずる場合には、締約国は、当該当事者に対し、当該事項が既に解決されていることを証明するため、この条約に定める条件の下に、かつ、自国の手続に従って、当該和解合意を援用することを認めるものとすること。
四 この条約に基づいて和解合意を援用する当事者は、救済を求める締約国の権限のある機関に対し、当事者が署名した和解合意及び和解合意が調停によるものであることについての証拠(例えば、和解合意への調停人の署名等)を提出すること。
五 四により救済を求められた締約国の権限のある機関は、当該救済が不利益に援用される当事者の要請により、当該当事者が和解合意のいずれかの当事者の行為能力に制限があったこと等についての証拠を提出する場合に限り、救済の付与を拒否することができること。
六 和解合意に関する申立て又は請求が裁判所、仲裁廷又はその他の権限のある機関に対して行われており、四による救済に影響を及ぼし得る場合には、四の救済を求められた締約国の権限のある機関が適当と認めるときは、当該権限のある機関は、決定を延期することができ、かつ、一方の当事者の要請に応じ、相当な担保を立てることを他方の当事者に命ずることができること。
なお、我が国は、この条約の締結に当たり、和解合意の当事者がこの条約の適用に合意した限度においてのみ、この条約を適用するとの留保を付する予定である。