所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とスイスとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第3号)の概要
本件は、標記の議定書の締結について、国会の承認を求めるものである。
この議定書は、我が国とスイスとの間の現行租税条約を改正し、投資先の国(源泉地国)における免税の対象拡大等、二重課税の除去のための規定を拡充するほか、脱税・租税回避行為を防止するための規定を拡充するものであり、その主な内容は次のとおりである。
1 事業利得に対する課税に関する規定の新設
一方の国の企業が、他方の国内に保有する恒久的施設を通じて事業を行ったことにより生じる、他方の国の課税対象となる恒久的施設に帰属する事業利得の算定に当たっては、恒久的施設の果たす機能及び事実関係に基づいて、外部取引、資産、リスク及び資本を恒久的施設に帰属させ、恒久的施設と本店等との内部取引を認識し、その内部取引が独立企業間価格で行われたものとして算定すること。
2 配当に対する源泉地国免税の対象拡大
配当に対する源泉地国免税の対象を、「配当支払法人の議決権等の50パーセント以上を6か月以上の期間所有する法人」から、「配当支払法人の議決権等の10パーセント以上を365日以上の期間所有する法人」に改めること。
3 利子に対する源泉地国免税
利子(債務者が得た収入、売上げ等に連動してその額が決定されるものを除く。)について、源泉地国免税とすること。
4 税務当局間の相互協議に係る仲裁手続の規定
納税者により申し立てられた課税事案が、相互協議(税務当局間の検討)で解決することができない場合における仲裁手続を新設すること。
5 条約の特典の濫用を防止するための規定
条約の特典の濫用を防止するための規定を、国際標準に沿った内容(条約の特典を受けることが取引等の主要な目的の一つであったと認められる場合について、条約の特典を認めない。)に改めること。