(外務委員会)
世界貿易機関を設立するマラケシュ協定を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)概要
本件は、標記の協定の締結について、国会の承認を求めるものである。
この議定書は、違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業(以下「IUU漁業」という。)につながる補助金の禁止等について定める漁業補助金に関する協定(以下「漁業補助金協定」という。)を世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(以下「WTO協定」という。)附属書一Aに追加すること等を規定するものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 議定書
WTO協定附属書一Aについては、補助金及び相殺措置に関する協定(以下「補助金協定」という。)の次にこの議定書の附属書に規定する漁業補助金協定を加えること。
二 議定書の附属書(漁業補助金協定)
1 この協定は、補助金協定に規定する特定性を有する補助金であって、海洋における野生の捕獲漁業及び海上における漁獲関連活動に対して交付されるものについて適用すること。
2 いかなる加盟国も、IUU漁業又はIUU漁業を補助する漁獲関連活動に従事する船舶又は運航者に対する補助金を交付し、又は維持してはならないこと。
3 いかなる加盟国も、濫獲された資源に関する漁獲又は漁獲関連活動に対する補助金を交付し、又は維持してはならないこと及び加盟国は、生物学的に持続可能な水準に資源を回復させるために濫獲された資源に関する漁獲等に対する補助金又はその他の措置を実施する場合には当該補助金を交付し、又は維持することができること。
4 いかなる加盟国も、沿岸国の管轄の外かつ関連する地域漁業管理機関の権限の外で行われる漁獲又は漁獲関連活動に対する補助金を交付し、又は維持してはならないこと。
5 この協定に基づく規律の実施のために提供される開発途上加盟国に対する技術援助及び能力の開発に関する援助を支援するため、世界貿易機関の任意の資金供与の仕組みを設置すること。
6 加盟国は、補助金が交付される漁獲活動の種類の情報、IUU漁業に従事したと決定した船舶及び運航者の一覧、この協定の実施及び運用を確保するための措置、この協定に関連を有する自国の漁業に関する制度の概要、自国が参加国である地域漁業管理機関に関する情報等を通報又は提供すること。
7 この協定により、各加盟国の代表で構成する漁業補助金に関する委員会を設置すること。
8 この協定が効力を生じてから四年以内に包括的な規律が採択されない場合には、世界貿易機関の一般理事会が別段の決定を行わない限り、この協定は直ちに終了すること。