所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアゼルバイジャン共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第5号)の概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、我が国とアゼルバイジャンとの間の現行租税条約を全面的に改正し、両国間の緊密化する経済関係を反映して、投資交流の更なる促進を図るため、投資所得に対する源泉地国課税を更に軽減するとともに、より効果的に脱税及び租税回避行為に対処するため、条約の特典の濫用を防止する規定等を新たに設けるものであり、その主な内容は次のとおりである。
1 この条約が適用される租税は、日本国については所得税、法人税、復興特別所得税、地方法人税及び住民税、アゼルバイジャンについては自然人の所得に対する租税及び法人の利得に対する租税とすること。
2 一方の締約国の企業の事業利得に対しては、当該企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、当該恒久的施設に帰せられる利得にのみ当該他方の締約国において課税できること及び恒久的施設に帰せられる利得に対する課税においては本支店間の内部取引をより厳格に認識して課税対象とすること。
3 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該一方の締約国においては、配当額の七パーセントを超えない額を課税できること。
4 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対しては、当該一方の締約国においては、利子額の七パーセントを超えない額を課税できること。ただし、当該利子の受益者が他方の締約国の政府等である場合には当該他方の締約国においてのみ課税できること。
5 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる著作権、特許権等の使用料に対しては、当該一方の締約国においては、使用料の額の七パーセントを超えない額を課税できること。
6 この条約の規定に適合しない課税を受けたと認める者等は、いずれかの締約国の権限のある当局に対して申立てをすることができること及び申立てを受けた当局は、他方の締約国の権限のある当局との合意によって解決するよう努めること。
7 両締約国の権限のある当局間で租税に関する情報を交換すること及び租税債権の徴収について相互に支援を行うこと。
8 第三国に存在する恒久的施設に帰属する所得について第三国において課される租税の額が一定の額に満たない場合及び取引等の主要な目的が条約の特典を受けることである場合には当該特典は与えられないこと。