所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とアルジェリア民主人民共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第6号)の概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、我が国とアルジェリアとの間で、二重課税の除去を図るとともに、脱税及び租税回避行為を防止するため、源泉地国が課税できる所得の範囲、限度税率等を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
1 この条約が適用される租税は、日本国については所得税、法人税、復興特別所得税、地方法人税及び住民税、アルジェリアについては全世界所得に対する租税、法人の利得に対する租税、専門的活動に係る租税及び炭化水素の探査等の活動に関する成果に対する使用税その他の租税とすること。
2 一方の締約国の企業の事業利得に対しては、当該企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、当該恒久的施設に帰せられる利得にのみ当該他方の締約国において課税できること。
3 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該一方の締約国においても課税できること。ただし、当該配当の受益者が、当該配当を支払う法人の資本(当該法人がアルジェリアの居住者である場合)又は議決権(当該法人が日本の居住者である場合)の二十五パーセント以上を直接に所有する法人である場合には当該配当額の五パーセントを超えない額、その他の場合には当該配当額の十パーセントを超えない額とすること。
4 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対しては、当該一方の締約国においては、利子額の七パーセントを超えない額を課税できること。ただし、当該利子の受益者が他方の締約国の政府等である場合には当該他方の締約国においてのみ課税できること。
5 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる著作権、特許権等の使用料に対しては、当該一方の締約国においては、使用料額の十パーセントを超えない額を課税できること。
6 この条約の規定に適合しない課税を受けたと認める者等は、いずれかの締約国の権限のある当局に対して申立てをすることができること及び申立てを受けた当局は、他方の締約国の権限のある当局との合意によって解決するよう努めること。
7 両締約国の権限のある当局間で租税に関する情報を交換すること及び租税債権の徴収について相互に支援を行うこと。
8 取引等の主要な目的がこの条約の特典を受けることである場合には当該特典は与えられないこと。
なお、条約の不可分の一部を成す議定書は、アルジェリアがこの条約の署名後に一定の仲裁に関する規定を含む租税条約を締結する場合には、両国は、我が国の要請に基づき交渉を開始すること等を規定している。