所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国とコロンビア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)概要
本件は、標記の条約の締結について、国会の承認を求めるものである。
この条約は、人的交流及び経済的交流に伴って発生する国際的な二重課税の除去並びに脱税及び租税回避行為の防止を目的として、我が国とコロンビアとの間で課税権を調整するとともに、両国における配当、利子及び使用料に対する源泉地国課税の限度税率等を定めるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 この条約が適用される租税は、日本国については所得税、法人税、復興特別所得税及び地方法人税とし、コロンビアについては所得税及びその補完税とすること。
二 一方の締約国の企業の事業利得に対しては、当該企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、当該恒久的施設に帰せられる利得にのみ当該他方の締約国において課税できること及び恒久的施設に帰せられる事業利得に対する課税においては本支店間の内部取引をより厳格に認識して課税対象とすること。
三 一方の締約国の居住者である法人が他方の締約国の居住者に支払う配当に対しては、当該他方の締約国において課税できるが、当該一方の締約国においても、当該配当の受益者が当該配当を支払う法人の議決権の二十パーセント以上を保有する法人である場合には、配当額の五パーセントを超えない額、その他の場合には、配当額の十パーセントを超えない額を課税できること。ただし、当該配当の受益者が他方の締約国の公認の年金基金であり、かつ、当該配当が公認の年金基金の主たる目的としてこの条約に規定された活動によって取得される場合には、当該他方の締約国においてのみ課税できること。
四 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる利子に対しては、当該他方の締約国において課税できるが、当該一方の締約国においても、利子額の十パーセントを超えない額を課税できること。ただし、当該利子の受益者が他方の締約国の政府等である場合には、当該他方の締約国においてのみ課税できること。
五 一方の締約国内で生じ、他方の締約国の居住者に支払われる著作権、特許権等の使用料に対しては、当該他方の締約国において課税できるが、当該一方の締約国においても、産業上、商業上又は学術上の設備の使用等に対する場合は使用料額の二パーセント、その他の場合は使用料額の十パーセントを超えない額を課税できること。
六 この条約の規定に適合しない課税について、権限のある当局に対して申立てをすることができること及び権限のある当局が相手国の権限のある当局と協議を行って解決を図ることができること。
七 両締約国の権限のある当局間で租税に関する情報の交換を行うこと及び租税債権の徴収について相互に支援を行うこと。
八 この条約の特典の濫用防止のため、特典を享受できる者を一定の要件を満たす適格者等に限定すること。
なお、条約の不可分の一部を成す議定書は、一定の場合に情報提供を拒否できること等を規定している。