民法の一部を改正する法律案(円より子君外四名提出、衆法第三五号)の概要
本案は、最近における国民の価値観の多様化及びこれを反映した世論の動向等に鑑み、個人の尊重と男女の対等な関係の構築、婚姻によって氏を改めることによる不利益の防止等の観点から、選択的夫婦別氏制を導入しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 夫婦の氏
1 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称すること。
2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、その一方を戸籍の筆頭に記載すべき者と定めなければならないこと。
二 子の氏
1 嫡出である子は、父母の氏又は父母の婚姻の際に戸籍の筆頭に記載すべき者と定められた者(以下「戸籍筆頭者」という。)の氏を称すること。
2 養子は、養親の氏を称することとし、氏を異にする夫婦が共に養子をするとき又はその一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、戸籍筆頭者の氏を称すること。
三 子の氏の変更
子は、父母が氏を異にする夫婦である場合において、未成年であるときは、特別の事情があるときに限り、氏を変更することができること。
四 施行期日等
1 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
2 政府は、この法律の施行の日までに、次に掲げる方針に従い、戸籍法の改正を行うものとすること。
㈠ 戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びその双方又は一方と氏を同じくする子ごとに、これを編製すること。
㈡ 氏を異にする夫婦の戸籍に氏名を記載する順序は、戸籍筆頭者、配偶者、子の順序によること。
3 政府は、2のほか、この法律の施行の日までに、この法律を施行するために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとすること。
4 この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、この法律の施行の日から一年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができること。