出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)概要
本案は、退去強制手続における送還・収容の現状に鑑み、退去強制手続を一層適切かつ実効的なものとするため、在留特別許可の申請手続の創設、収容に代わる監理措置の創設、難民認定手続中の送還停止に関する規定の見直し、本邦からの退去を命ずる命令制度の創設等の措置を講ずるほか、難民に準じて保護すべき者に関する規定の整備その他所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 難民に準じて保護すべき者を補完的保護対象者として認定する手続を創設し、これを適切に保護するための規定を整備すること。
二 退去強制令書の発付前において本邦への在留を希望する外国人からの在留特別許可の申請を可能とするとともに、在留特別許可の判断に際しての考慮事情を明示すること。
三 一定の事由により退去強制を受ける者を送還先に送還することが困難である場合に、その者に対し、本邦からの退去を義務付ける命令制度を創設し、命令に違反した場合の罰則を整備すること。
四 難民認定手続中は一律に送還が停止されるとする送還停止効に例外を設け、同手続中であっても一定の場合には送還を可能とすること。
五 退去強制令書の発付を受けた者の自発的な出国を促すため、素行等を考慮して相当と認められる者について、その申請により、速やかに自費出国をした場合には上陸拒否期間を短縮することができることとする制度を設けること。
六 監理措置の制度を創設し、当該外国人の逃亡のおそれの程度、収容により受ける不利益の程度等を考慮して相当な場合には、監理人による監理に付し、収容せずに退去強制手続を進めることとするとともに、収容する場合であっても、三か月ごとに、監理措置に付すか否かを必要的に見直すこととすること。
七 仮放免制度について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除する制度と改めた上、健康上の理由による仮放免請求に係る判断をするに当たっては、医師の意見を聴くなどして、その者の健康状態に十分配慮することなどを明記すること。
八 入国者収容所等における被収容者の処遇について、保健衛生及び医療、外部交通等に関する事項を明確化するため、具体的な規定を整備すること。
九 十六歳未満の外国人が所持する在留カード及び特別永住者証明書の有効期間を見直すこと。
十 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。