刑事訴訟法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四一号)の概要
本案は、被告人や刑が確定した者の逃亡を防止し、公判期日等への出頭及び裁判の執行を確保するため、逃走の罪の構成要件及び法定刑を改め、公判期日への不出頭罪等を新設するほか、保釈等をされた者に対する監督者制度、拘禁刑以上の実刑の言渡しを受けた者等が出国により刑の執行を免れることを防止するための制度、位置測定端末により保釈された者の位置情報を取得する制度等の創設等を行うとともに、刑事手続において犯罪被害者等の情報を保護するため、犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない起訴状抄本等を被告人に送達する措置等を導入しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 公判期日等への出頭及び裁判の執行の確保
1 逃走の罪の構成要件及び法定刑の改正
逃走罪及び加重逃走罪の主体を拡張するとともに、逃走罪の法定刑を「一年以下の懲役」から「三年以下の懲役」に引き上げること。
2 公判期日への不出頭罪等の新設
保釈中又は勾留執行停止中の被告人が公判期日に出頭しない行為等について、二年以下の拘禁刑に処することとすること。
3 保釈又は勾留執行停止をされた者に対する監督者制度の創設
保釈中又は勾留執行停止中の者を監督する者を裁判所が選任できることとすること。
4 拘禁刑以上の実刑判決の宣告を受けた者等に係る出国制限制度の創設
拘禁刑以上の実刑判決の宣告を受けた者等について、裁判所の許可なく出国してはならないこととすること。
5 位置測定端末により保釈された者の位置情報を取得する制度の創設
保釈された者が国外に逃亡することを防止するため、裁判所の命令により位置測定端末を装着させ、飛行場の周辺等の所在禁止区域への所在等の事由の発生を検知できることとすること。
二 犯罪被害者等の情報保護
犯罪被害者等の個人特定事項の記載がない起訴状抄本等を被告人に送達する措置等により、刑事手続において当該個人特定事項を秘匿できることとすること。
三 施行期日
この法律は、原則として、公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。