民事裁判情報の活用の促進に関する法律案(内閣提出第四二号)概要
本案は、民事裁判情報の適正かつ効果的な活用の促進を図るため、国の責務及び法務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、民事裁判情報を加工して第三者に提供する業務等を行う法人の指定に関する制度を創設する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 目的
デジタル社会の進展に伴い民事裁判情報に対する需要が多様化していることに鑑み、民事裁判情報(電子判決書等に記録されている事項に係る情報をいう。)の活用の促進に関し、国の責務、法務大臣による基本方針の策定、民事裁判情報を加工して第三者に提供する業務等を行う法人の指定等について定めることにより、民事裁判情報の適正かつ効果的な活用のための基盤の整備を図り、もって創造的かつ活力ある社会の発展に資することを目的とすること。
二 国の責務等
1 政府は、一の目的を達成するため、民事裁判情報の活用の促進のための施策を策定し、最高裁判所は、民事裁判情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとすること。
2 法務大臣は、民事裁判情報の活用の促進の意義に関する事項等を定めた基本方針を定めなければならないものとすること。
三 民事裁判情報を加工して第三者に提供する業務等を行う者の指定等
1 法務大臣は、広く一般の需要に応ずるに足りるデータベースを整備して民事裁判情報に仮名処理等を行った情報の作成、提供、管理等の業務を行う者として、一般社団法人、一般財団法人その他営利を目的としない法人であって一定の要件を備えるものを、その申請により、全国に一を限って指定することができるものとすること。
2 1の指定を受けた法人は、1の業務を行うため、最高裁判所に対し、民事裁判情報を記録した電磁的記録の提供を求めることができるものとすること。
3 所要の業務規律(業務規程及び事業計画に対する認可、1の情報の提供を内容とする契約の締結の拒絶及び解除の制限、業務の休廃止に対する許可、役員等の業務に関する情報の目的外使用の禁止、業務委託に対する承認等)及び監督規律を設けること。
四 その他所要の措置を定めること。
五 施行期日
この法律は、公布の日から起算して九月(一部の規定については、公布の日から起算して二年)を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。