組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六四号)の概要
本案は、近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等を改正し、所要の法整備を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の罪の新設
1又は2に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、それぞれ1又は2に定める刑に処するものとすること。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除するものとすること。
1 対象犯罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
2 対象犯罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮
二 証人等買収罪の新設
死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪等に係る自己又は他人の刑事事件に関し、証言をしないこと等の報酬として、金銭その他の利益の供与等をした者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。
三 犯罪収益の前提犯罪の拡大
死刑又は無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪等を犯罪収益の前提犯罪とすること。
四 条約による国外犯処罰
関係罰則について、刑法第四条の二の例に従うものとすること。
五 施行期日
この法律は、一部の規定を除いて公布の日から起算して二十日を経過した日から施行するものとすること。