仲裁法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)の概要
本案は、経済取引の国際化の進展等の仲裁をめぐる諸情勢の変化に鑑み、仲裁廷が命ずる暫定保全措置についてその内容及び手続並びにその強制執行等の手続等を定める等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 暫定保全措置の内容及び手続に関する規定の整備
1 仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁判断があるまでの間、その一方の申立てにより、他方の当事者に対し、次に掲げる措置を講ずることを命ずることができる旨の規定を設けること。
㈠ 金銭の支払を目的とする債権について、金銭の支払をするために必要な財産の処分その他の変更を禁止すること。
㈡ 財産上の給付(金銭の支払を除く。)を求める権利について、給付の目的である財産の処分その他の変更を禁止すること。
㈢ 紛争の対象となる物又は権利関係について、著しい損害又は急迫の危険の発生防止のための措置をとり、又は変更前の原状の回復をすること。
㈣ 仲裁手続の審理を妨げる行為を禁止すること。
㈤ 仲裁手続の審理に必要な証拠の廃棄その他の行為を禁止すること。
2 1の措置を講ずることを命ずる命令(以下「暫定保全措置命令」という。)を発する際の担保の提供、暫定保全措置命令の取消し等に関する規定を設けること。
二 暫定保全措置命令の執行等認可決定に係る規定の新設
暫定保全措置命令(仲裁地が日本国内にあるかどうかを問わない。)の申立てをした者の申立てにより、裁判所が、次の1又は2の決定をする手続を創設すること。
1 暫定保全措置命令のうち一1㈢の措置を講ずることを命ずるものについて、当該暫定保全措置命令に基づく民事執行を許す旨の決定
2 暫定保全措置命令のうち一1㈠、㈡、㈣又は㈤の措置を講ずることを命ずるものについて、当該暫定保全措置命令に違反し、又は違反するおそれがあるときに、裁判所が違反金支払命令を発することを許す旨の決定
三 東京地方裁判所及び大阪地方裁判所に仲裁手続に関して裁判所で行う手続に係る競合管轄を認める旨の規定、一定の場合に仲裁判断書等の訳文を添付することの省略を認める規定等を設けること。
四 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。