本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案(参議院提出、参法第六号)概要
本案は、本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの、すなわち本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消が喫緊の課題であることに鑑み、その解消に向けた取組について、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本的施策を定め、これを推進しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 前文
我が国において、近年、不当な差別的言動により、本邦外出身者が多大な苦痛を強いられるとともに、地域社会に深刻な亀裂を生じさせており、このような事態を看過することは、国際社会において我が国の占める地位に照らしてもふさわしいものではなく、このような不当な差別的言動は許されないことを宣言する等のため、本法を制定すること。
二 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の定義
専ら本邦外出身者に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命等又は財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国等の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを 煽 動する不当な差別的言動をいうこと。
三 基本理念
国民は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消の必要性に対する理解を深めるとともに、本邦外出身者に対する不当な差別的言動のない社会の実現に寄与するよう努めなければならないこと。
四 国及び地方公共団体の責務
本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する施策の実施について、国及び地方公共団体の責務を規定すること。
五 基本的施策
国は、相談体制の整備、教育の充実等及び啓発活動等を実施することとし、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じ、これらの基本的施策を実施するよう努めること。
六 施行期日
この法律は、公布の日から施行すること。
七 検討
不当な差別的言動に係る取組については、この法律の施行後における本邦外出身者に対する不当な差別的言動の実態等を勘案し、必要に応じ、検討が加えられるものとすること。