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   民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案(内閣提出第五八号)の概要

 本法律案は、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に鑑み、相続が開始した場合における配偶者の居住の権利及び遺産分割前における預貯金債権の行使に関する規定の新設、自筆証書遺言の方式の緩和、遺留分の減殺請求権の金銭債権化等を行おうとするものであり、その主な内容は、次のとおりである。

1 民法の一部改正

 (1) 配偶者の居住の権利の創設

   配偶者が、終身又は一定期間、無償で被相続人の財産に属した建物の使用及び収益をすることができる権利(配偶者居住権)を創設し、遺産分割又は遺贈により、これを取得することができる旨の規定を設ける。

 (2) 遺産分割前の預貯金の払戻しを認める方策

   各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち、一定額については、他の共同相続人の同意を得ることなく、単独で払戻しをすることができる旨の規定を設ける。

 (3) 自筆証書遺言の方式緩和

   自筆証書遺言の要件を緩和し、自筆証書に相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については自書することを要しない旨の規定を設ける。

 (4) 遺留分の減殺請求権の金銭債権化

   遺留分の減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し、遺留分侵害額請求権の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずる旨の規定を設けるとともに、受遺者又は受贈者の請求により、金銭債務の全部又は一部の支払につき裁判所が期限を許与することができる旨の規定を設ける。

2 家事事件手続法の一部改正

  預貯金債権の仮分割の仮処分に限り、家事事件手続法第200 条(遺産分割の審判事件を本案とする保全処分)の要件を緩和する旨の規定を設ける。

3 施行期日等

 (1) 施行期日

   原則として、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとする。ただし、配偶者の住居の権利の創設については、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとする。

 (2) 関係法律の整備等

   この法律の施行に伴い、刑法等の関係法律の規定を整備等するものとする。

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