解散命令の請求等に係る宗教法人の財産の保全に関する特別措置法案(西村智奈美君外七名提出、衆法第一一号)概要
本案は、近年の宗教法人をめぐる社会状況及び現行の宗教法人制度の下では解散命令の請求等に係る宗教法人の財産についてその隠匿又は散逸のおそれへの対処には困難を伴う場合があることに鑑み、当該宗教法人の財産の保全に関し特別の定めをしようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 宗教法人の財産に関する保全処分
1 裁判所は、法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと又は宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたことを理由として、宗教法人の解散を命ずる裁判の請求があった場合等であって、次のいずれにも該当すると認める相当な理由があるときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その事件につき決定があるまでの間、当該宗教法人の財産に関し、管理人による管理を命ずる処分その他の必要な保全処分を命ずることができることとすること。
㈠ 当該宗教法人による不当な寄附の勧誘その他の行為によって生じた損害の賠償に係る訴訟、示談の交渉及び国の行政機関等に対する相談に係る状況等に照らし、当該行為によって、相当多数の個人において、多額の損害が生じていると見込まれること。
㈡ 当該宗教法人の財産の構成、国内から国外へ向けた多額の送金その他の当該財産の第三者への移転に係る状況等に照らし、当該財産の隠匿又は散逸のおそれがあること。
2 1の保全処分について、会社法の所要の規定を準用すること。
二 施行期日等
1 この法律は、公布の日から施行すること。
2 この法律は、この法律の施行の日から起算して二年を経過した日に、その効力を失うこと。ただし、同日前に命ぜられた一1による保全処分については、この法律は、同日以後も、なおその効力を有すること。
3 この法律の規定は、この法律の施行前に宗教法人の解散を命ずる裁判の請求があった場合等における宗教法人の財産の保全についても適用すること。
4 この法律の規定については、この法律の施行の状況を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて法制上の措置その他の所要の措置が講ぜられるものとすること。