民法の一部を改正する法律案(黒岩宇洋君外五名提出、衆法第二九号)の概要
本案は、最近における国民の価値観の多様化及びこれを反映した世論の動向等に鑑み、個人の尊重と男女の対等な関係の構築等の観点から選択的夫婦別氏制を導入しようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 夫婦の氏
1 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称すること。
2 夫婦が各自の婚姻前の氏を称する旨の定めをするときは、夫婦は、婚姻の際に、夫又は妻の氏を子が称すべき氏として定めなければならないこと。
二 子の氏
1 嫡出である子は、父母の氏又は夫婦が婚姻の際に定めた子が称すべき氏を称すること。
2 養子は、養親の氏を称することとし、氏を異にする夫婦が共に養子をするとき又はその一方が配偶者の嫡出である子を養子とするときは、夫婦が婚姻の際に定めた子が称すべき氏を称すること。
三 子の氏の変更
子は、父母が氏を異にする夫婦である場合において、未成年であるときは、特別の事情があるときに限り、氏を変更することができること。
四 施行期日等
1 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
2 政府は、この法律の施行の日までに、この法律を施行するために必要な戸籍法の改正その他の法制の整備その他の措置を講ずるものとすること。
3 この法律の施行前に婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、婚姻中に限り、配偶者との合意に基づき、この法律の施行の日から一年以内に別に法律で定めるところにより届け出ることによって、婚姻前の氏に復することができること。