(環境委員会)
水銀による環境の汚染の防止に関する法律案(内閣提出第三六号)概要
本案は、水銀に関する水俣条約(以下「条約」という。)の的確かつ円滑な実施を確保するため、所要の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 主務大臣は、水銀及びその化合物(以下「水銀等」という。)による環境の汚染の防止に関する対策を総合的かつ計画的に推進し、あわせて条約の的確かつ円滑な実施を確保するため、水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定するものとすること。
二 何人も、水銀鉱を掘採してはならないものとすること。
三 特定の水銀使用製品の製造を原則として禁止することとし、主務大臣は、条約で認められた用途のために製造される場合に限り許可することとすること。
四 既存の用途として把握されていない新たな用途のための水銀使用製品については、当該製品の利用が人の健康の保護又は生活環境の保全に寄与する場合でなければ、その製造又は販売をしてはならないものとすること。
五 国、市町村及び事業者は、水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。
六 何人も、化学工業品その他の物品の製造工程であって、水銀等の使用に係る規制を行うことが特に必要なものとして政令で定める製造工程において、水銀等を使用してはならないものとすること。
七 何人も、業として、金鉱から水銀等を使用する方法によって金の採取を行ってはならないものとすること。
八 主務大臣は、規制を行うことが特に必要な水銀等を貯蔵する者(以下「水銀等貯蔵者」という。)が、その貯蔵に係る水銀等による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めるものとするとともに、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、水銀等貯蔵者に対し、その技術上の指針を勘案して、必要な勧告ができるものとすること。また、一定の要件に該当する水銀等貯蔵者は、定期的に主務大臣に貯蔵の状況等に関する報告をしなければならないものとすること。
九 主務大臣は、水銀含有再生資源を管理する者(以下「水銀含有再生資源管理者」という。)が、その管理に係る水銀含有再生資源による環境の汚染を防止するためにとるべき措置に関する技術上の指針を定めるものとするとともに、環境の汚染を防止するために必要があると認めるときは、水銀含有再生資源管理者に対し、その技術上の指針を勘案して、必要な勧告ができるものとすること。また、水銀含有再生資源管理者は、定期的に、主務大臣に管理の状況等に関する報告をしなければならないものとすること。
十 この法律は、一部の規定を除き、条約が日本国について効力を生ずる日から施行すること。