特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)概要
本案は、第四次産業革命により既存の業種の垣根を超えたオープンイノベーションが進む中、中小・ベンチャー企業が優れた技術を活かして飛躍するチャンスが拡大するとともに、優れたデザインを提供し、ユーザーの満足度を高めることが、競争力の源泉となってきている状況を踏まえ、産業財産権に関する訴訟制度を改善するとともに、デジタル技術を活用したデザインの保護や、ブランド構築等のため、意匠制度等を強化するものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 特許法の一部改正
1 特許権の侵害の可能性が高い場合に、裁判所が選定する中立な技術専門家が被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度を創設すること。
2 侵害者が得た利益のうち、権利者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして損害賠償を請求できるようにする等、損害賠償額の算定方法を見直すこと。
二 意匠法の一部改正
1 物品に記録・表示されていない画像デザインや、建築物の外観・内装のデザインを、新たに意匠法の保護対象とすること。
2 自己の登録意匠等に類似する意匠の登録を認める関連意匠制度を拡充し、一貫したコンセプトに基づき開発されたデザインの保護を可能とすること。
3 意匠権の存続期間を、「登録日から二十年」から「出願日から二十五年」に変更すること。
4 模倣品の取締りを回避する目的で侵害品を構成部品に分割して製造・輸入等する行為を、意匠権侵害とみなし、取り締まれるようにすること。
三 商標法の一部改正
国、地方公共団体、非営利の公益団体等が自らを表示する著名な商標権について、他人に通常使用権を許諾することを可能とすること。
四 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。