特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)概要
本案は、知的財産の適切な保護及び知的財産制度の利便性の向上を図るため、手続期間の徒過により消滅した特許権等の回復要件の緩和、特許審判等での口頭審理を映像及び音声の送受信により行う方法の導入、特許料等の予納における印紙の廃止、特許関係料金の見直し、商標権の侵害となり得る対象行為として海外事業者による模倣品の国内への持込みの追加等の措置を講ずるものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 特許権等の回復要件の緩和
手続期間の徒過により消滅した特許権等の回復要件を緩和するものとすること。
二 特許権侵害訴訟等における第三者意見募集制度の創設
特許権侵害訴訟等において、当事者の申立てにより、裁判所が必要と認めるときに限り、広く一般の第三者に対してその審理に必要な事項について、意見を求めることができ、当該意見を当事者が証拠に活用できる制度を創設すること。
三 審判等の口頭審理等の手続の見直し
審判官及び審判書記官並びに当事者及び参加人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、口頭審理等の手続を行うことができるものとすること。
四 訂正審判等における通常実施権者の承諾の要件の見直し
特許権の放棄及び訂正審判の請求において、通常実施権者の承諾を不要とすること。
五 特許料等の改定
特許料等について、上限額を法定し、具体的な金額を政令で定めること。
六 意匠の実施及び商標の使用の定義の見直し
意匠の実施及び商標の使用の定義に定める輸入に、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含むものとすること。
七 予納の見直し
特許料等又は手数料の予納について、特許印紙ではなく現金をもってしなければならないとすること。
八 弁理士制度の見直し
弁理士に係る法人制度の見直し及び弁理士業務の追加を行うこと。
九 施行期日
この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。