(経済産業委員会)
特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)概要
本案は、我が国のイノベーションを促進するため、研究者の研究開発活動に対するインセンティブの確保及び企業の知的財産戦略の迅速かつ確実な実施を図るための環境整備、企業の知的財産の取得・維持に係る負担軽減並びに知的財産権に係る国際的な制度調和等を図ることにより、知的財産の適切な保護・活用を実現するための環境整備を講じようとするものであり、その主な内容は次のとおりである。
一 特許法の改正
1 職務発明制度の見直し
職務発明に関する特許を受ける権利について、権利発生時から企業等に帰属させることを可能とするとともに、従業者等が企業等に同権利を取得等させた場合には、従業者等は、相当の金銭その他の経済上の利益(以下「相当の利益」という。)を受ける権利を有すること。また、企業等と従業者等が相当の利益の内容を決定するための手続に関する指針の策定を法定すること。
2 特許法条約の実施のための規定の整備
外国語出願における書面等の翻訳文の提出を期間内に完了できなかった場合における救済規定の整備等を行うこと。
3 特許料の改定
特許料を引き下げること。
二 商標法の改正
出願時の特例の適用を受けるための証明書の提出を期間内に提出することができなかった場合における救済規定の整備等商標法に関するシンガポール条約の実施のための規定の整備を行うとともに、商標の登録料及び更新登録料等を引き下げること。
三 特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律の改正
特許協力条約に基づく国際出願に係る調査手数料等について、日本語及び外国語別の料金体系に改正すること。
四 施行期日
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。
五 検討
政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、特許料の引下げ等に係る規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じること。