高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)の概要
本案は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の一層の促進を図るため、基本理念を定め、公共交通移動等円滑化基準等の適用対象となる事業者の範囲の拡大、公共交通事業者等の講ずる措置に関する計画の作成の義務付け、移動等円滑化促進地区における移動等円滑化の促進に関する措置及び移動等円滑化施設協定制度の創設等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 本法の基本理念を、本法に基づく措置が高齢者、障害者等にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去及び全ての国民が年齢、障害の有無その他の事情によって分け隔てられることなく共生する社会の実現に資することを旨として、行われなければならないことと定めること。
二 国の責務に、関係行政機関及び高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者等で構成する会議における定期的な評価その他のこれらの者の意見を反映させるために必要な措置に係る規定を追加すること。
三 国民は、高齢者、障害者等が公共交通機関を利用して移動するために必要となる支援等の協力をするよう努めなければならないこと。
四 公共交通事業者等の対象に、一般貸切旅客自動車運送事業者及び旅客不定期航路事業者を追加すること。
五 国土交通大臣は、旅客施設及び車両等の移動等円滑化を促進するため、旅客施設及び車両等を公共交通移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置等並びに公共交通事業者等が達成すべき目標及び併せて講じる措置について、公共交通事業者等の判断の基準となるべき事項を定め、公表すること。
六 公共交通事業者等は、毎年度、目標達成のための計画を作成し、国土交通大臣に提出するとともに、計画に基づく措置の実施状況等を報告し、公表しなければならないこと。
七 市町村は、基本方針に基づき、当該市町村の区域内の移動等円滑化促進地区について、移動等円滑化促進方針を作成するよう努めること。
八 都道府県は、市町村の求めに応じて、移動等円滑化促進方針の作成等に関し、広域的な見地から、必要な助言その他の援助を行うよう努めなければならないこと。
九 移動等円滑化促進地区内又は重点整備地区内の一団の土地の土地所有者等は、その全員の合意により、高齢者、障害者等が円滑に利用することができる案内所等の整備又は管理に関する事項等を定める移動等円滑化施設協定を締結することができること。
十 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。