宅地造成等規制法の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)概要
本案は、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積(以下「宅地造成等」という。)による災害を防止し、国民の生命及び財産の保護を図るため、当該災害の防止に関する国土交通大臣及び農林水産大臣による基本方針の策定、都道府県等(都道府県、指定都市又は中核市)による当該災害の防止のための対策に必要な基礎調査の実施、現行の宅地造成工事規制区域制度における規制対象の工事の拡大及び中間検査の新設、特定盛土等規制区域制度の創設、無許可工事等に対する罰則の強化等の措置を講ずるもので、その主な内容は次のとおりである。
一 題名を「宅地造成及び特定盛土等規制法」に改めるとともに、目的に、宅地造成に加え、特定盛土等及び土石の堆積について災害防止の規制の対象に追加すること。
二 国土交通大臣及び農林水産大臣は、宅地造成等に伴う災害の防止に関する基本方針を定めなければならないこと。また、都道府県等は基本方針に基づき、宅地造成等に伴う災害の防止のための対策に必要な基礎調査を行うこと。
三 宅地造成等工事規制区域及び特定盛土等規制区域
1 都道府県知事等(都道府県知事又は指定都市若しくは中核市の長)は基礎調査を踏まえ、宅地造成等に伴い災害が生ずるおそれが大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域等を宅地造成等工事規制区域として指定できること。また、宅地造成等工事規制区域外の土地の区域であって、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害によって、居住者の生命等に危害を生ずるおそれが特に大きい区域を特定盛土等規制区域として指定できること。
2 宅地造成等工事規制区域内で行われる宅地造成等又は特定盛土等規制区域内で行われる特定盛土等若しくは土石の堆積に関する工事について、工事主は、一定の場合を除き、当該工事に着手する前に都道府県知事等の許可を受けなければならないこと。また、宅地造成又は特定盛土等に関する工事について許可を受けた者は、一定の場合を除き、中間検査及び完了検査を受けなければならないこと。
3 宅地造成等工事規制区域内又は特定盛土等規制区域内の公共施設用地を除く土地の所有者等は、宅地造成等(特定盛土等規制区域内にあっては、特定盛土等又は土石の堆積)に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならないこと。また、都道府県知事等は、災害防止のため必要なときは、土地所有者等に加え、当該宅地造成等を行った工事施工者等の原因行為者に対しても是正措置を命令することができること。
四 罰則について、所要の規定を設けること。
五 この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。