建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五一号)概要
本案は、建設業を取り巻く社会経済情勢の変化等に鑑み、建設工事の適正な施工の確保を図るための措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 建設業法の一部改正
1 注文者に加え、建設業者にも、正当な理由がないのに通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約又は著しく短い期間を工期とする請負契約の締結を禁止すること。
2 建設業者に、材料費、労務費及び建設工事に従事する労働者による適正な施工を確保するために不可欠な経費(以下「材料費等」という。)の額を著しく低い額とする見積りを禁止すること。また、材料費等が記載された見積書の交付を受けた注文者は、その材料費等の額を著しく低い額とするような変更を建設業者に対し求めてはならないものとし、国土交通大臣等は、これに違反して変更された見積書の内容に基づき建設業者と請負契約を締結した発注者に対して、必要な勧告等をすることができること。
3 建設業者は、資材の価格の高騰等の工期等に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、注文者に対してその旨と当該事象の状況の把握のために必要な情報を通知しなければならないこと。また、当該通知をした建設業者は、請負契約の締結後、当該通知に係る事象が発生した場合には、注文者に対して工期等の変更についての協議を申し出ることができるものとし、当該申出を受けた注文者は、正当な理由がある場合を除き誠実に当該協議に応ずるよう努めること。
4 建設業者は、労働者の適切な処遇を確保するための措置を効果的に実施するよう努めること。
5 国土交通大臣は、建設工事の適正な施工を確保するために必要な情報通信技術の活用に関する措置の適切かつ有効な実施を図るための指針を定め、これを公表すること。
6 工事現場の状況の確認等の職務を情報通信技術を利用する方法により行うため必要な措置が講じられること等を要件として、監理技術者等の専任義務を合理化するとともに、営業所技術者等に関する監理技術者等の職務の特例を設けること。
7 中央建設業審議会は、建設工事の労務費に関する基準を作成し、その実施を勧告できること。
二 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部改正
公共工事における施工体制台帳の提出に関し、発注者が当該施工体制を情報通信技術を利用する方法により確認することができる場合には、当該建設業者において施工体制台帳の写しの提出を要しないこと。
三 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。