航空法及び運輸安全委員会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)の概要
本案は、最近における航空機及び無人航空機をめぐる状況に鑑み、航空機及びその航行の安全並びに無人航空機の飛行の安全の一層の向上を図るための措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりである。
一 航空法の一部改正
1 型式証明を受けた本邦航空機設計者等に対し、当該国産航空機の不具合情報を収集し、国土交通大臣へ報告することを義務付けるとともに、航空機設計者等に対し、整備等に必要な技術上の情報を耐空証明のある航空機の使用者へ提供する努力義務を定めること。
2 耐空証明のある航空機(航空運送事業の用に供する航空機を除く。)の使用者は、自ら整備規程を定め、国土交通大臣の認定を受けることができるとともに、当該認定を受けた航空機の耐空証明の有効期間を国土交通大臣が定める期間とすること。
3 発動機、プロペラ等、航空機の重要な装備品について、国土交通大臣による予備品証明制度を廃止するとともに、航空機の装備品について、国土交通大臣等の認定を受けた事業場が検査し、確認した装備品等以外のものを使用してはならないこと。
4 国土交通大臣の行う修理改造検査について、国の承認を受けた設計若しくは認定事業場の検査・確認を受けた設計又は輸入した航空機の修理若しくは改造のための設計の検査を不要とすること。
5 無人航空機を飛行させる者に対して、飲酒時の飛行の禁止、飛行前点検の遵守、航空機等との衝突の予防及び他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止について義務付けるとともに、無人航空機の飛行を行う者及び設計等をする者を対象とした報告徴収及び立入検査をすることができること。
6 アルコール等の影響により航空機の正常な運航ができないおそれがある間に航空業務に従事した者に対する罰則を強化すること。
二 運輸安全委員会設置法の一部改正
1 運輸安全委員会の調査対象となる「航空事故の兆候」の範囲を、航空機が航行していない状態で生じた事態も含まれるよう拡大すること。
2 国土交通大臣は、航空機設計者等から航空事故等の報告があったとき、直ちに運輸安全委員会にその旨を通報するとともに、運輸安全委員会は、事故等調査の経過について報告及び公表をする場合において、必要があると認めるときは国土交通大臣又は原因関係者に勧告することができること。
三 この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。